僕らはダンボール箱
May
14
それに厚みもそれぞれちょっと違う
社会というナカミを入れられ
生きて行くわけだが
それはたいへんなことなのだ
僕らは丈夫でなければならない
でもすぐに壊れてしまうのだ
ダンボールの素材では濡れたり
押されてしまえば
精神のように弱かったりする
ナカミを漏らしたら
使いモノにならないヤツだといわれ
ロボットたちに捨てられてしまう
でも搬送の途中で壊われなければ
たいてい回収されて
またダンボール箱に再生するんだ
前とはカタチが変わってしまうけど
今朝はトラックに揺られ
ギシギシと押されながら運ばれている
でもみんなの大きさが違うから
隙間が少しできて息苦しくはない
そんなちょっとしたことで
救われたりもするんだ
僕たち昔は人間のカラダだったらしいよ
手があって足があって
胴体があって頭があって
生身のカラダを持ちどこにでも行け
夢を描くこともできたらしいよ
でも神様はそれを許さなかった
どんどん自分を満たそうと
憎み合って争いが始まったから
人間のカラダをダンボール箱にしたんだ
配送センターに『愚かな人間』という銅像もあるし
人間って悪魔にでもなりたかったのかな
僕たちは何回も再生され
大事にしなくてはいけないモノが
少しづつわかってきたんだ
最近はダンボール箱も
イケているなんて思っているのさ
「神様
僕たちのカラダがダンボール箱でも
器などもうどうでもよいのです
ダンボール箱を全うすれば
それでよいと思っています」
さてさて
今日はどこへ行くのだろう
ずいぶんと揺れているから田舎の方なのかな……