みんなカタチも大きさも それに厚みもそれぞれちょっと違う 社会というナカミを入れられ 生きて行くわけだが それはたいへんなことなのだ 僕らは丈夫でなければならない でもすぐに壊れてしまうのだ ダンボールの素材では濡れたり 押されてしまえば 精神のように弱かったりする ナカミを漏らしたら 使いモノにならないヤツだといわれ ロボットたちに捨てられてしまう でも搬送の途中で壊われなければ たいてい回収されて またダンボール箱に再生するんだ 前とはカタチが変わってしまうけど 今朝はトラックに揺られ ギシギシと押されながら運ばれている でもみんなの大きさが違うから 隙間が少しできて息苦しくはない そんなちょっとしたことで 救われたりもするんだ 僕たち昔は人間のカラダだったらしいよ 手があって足があって 胴体があって頭があって 生身のカラダを持ちどこにでも行け 夢を描くこともできたらしいよ でも神様はそれを許さなかった どんどん自分を満たそうと 憎み合って争いが始まったから 人間のカラダをダンボール箱にしたんだ 配送センターに『愚かな人間』という銅像もあるし 人間って悪魔にでもなりたかったのかな 僕たちは何回も再生され 大事にしなくてはいけないモノが 少しづつわかってきたんだ 最近はダンボール箱も イケているなんて思っているのさ 「神様 僕たちのカラダがダンボール箱でも 器などもうどうでもよいのです ダンボール箱を全うすれば それでよいと思っています」 さてさて 今日はどこへ行くのだろう ずいぶんと揺れているから田舎の方なのかな……