哲ちゃんはね 哲生っていうんだ ほんとはね 自分の開拓に明け暮れ 詩なんて書いて そんなもんが何になる そう言われることもあるけど 哲ちゃんはね 理由なんて関係ないのさ 僕という作品を 作りたいだけなのさ 哲ちゃんはね 哲生っていうんだ ほんとはね
決めちまえばいい 余計なことは考えるな 病室のベットで苦しい筈なのに 最後まで痛いの一言も言わなかった 戦中、戦後を生き抜いた父の口癖が 今、少し弱った俺にふと刺さってきた 決めていたんだ 父は耐え抜くと決めていたんだ 俺も決めてしまおう 俺は元気になる
二十代 やはり詩を書いていた 友人は俺のことを「天才」と言った そうか 俺の詩は知的財産だ しかし三十代 俺のこと「天才」と言ってくれたよな えっ お前はすげえ「天然」だなあ と言った記憶はあるけど それから 「天然」も褒め言葉と思い込み 詩を書き続けているのであった