それは、「過程」だと思っている。
「謎」と「結果」を結ぶ「過程」。
大河「麒麟がくる」だって、
「家臣である光秀が
主君である信長を討つ」という結果は、
誰もがわかっていたことで。
「どうして?」という謎に迫るために、
1年以上、放送を見続けていたわけですよ。
信長こそが麒麟を呼び寄せる名君だと
思っていた光秀が、
本能寺の変に至る過程。
それこそが物語の核心で、
それを知りたくて、
視聴者はずっと放送を見ていたわけです。
レイアースだって、
最終回で衝撃の事実が
明かされるわけだけど、
「そうか!自分たちが倒すべき敵は
エメロード姫だったんだ!!
よし、じゃあ、倒すぞ!!えいっ!!
やったー!!これで世界は安泰だっ!!」
……じゃないわけですよ。
主人公たちが信じていた価値観が
一気に揺らぐ中で、
「敵」を倒さなければいけないという葛藤。
そもそも、どうして自分たちが
異世界セフィーロに召喚されたのか。
どうして自分たちじゃなければいけなかったのか。
そういえば、エメロード姫は、
ただの一度も、「自分を助けて」とは言わなかった。
そのことに気づいたときの衝撃。
それは、「今まで」の積み重ねでしか得られない。
起承転結の「承」をないがしろにしてたんじゃ、
得られない。
昔、タカマ二次小説「それは蛍のように」の
執筆に行き詰まった際、
非常に参考にさせてもらった
サイトさんがあります。
私に起承転結の大切さを教えてくれた
サイトさん。
文芸ナイフ_ドラマをつくる
http://pearldiver.blue.coocan.jp/knife/sousaku/2kishou.htm
ここに書かれている「『承』のポイント」が、
夜叉姫は全くできていないのよ。
犬かごや殺りんが出てくる過去話が
一番の盛り上がりで、
それ以外の迷走っぷりというか、
雑さ加減がひどすぎる……。
次回が最終回だというのに、
全然盛り上がらない。
そんで、「変化」がご都合主義どころか、
さっぱり理解できないんだよ……。
理由付けの「り」の字もないんだよね……。
おまけに、「伏線」が
伏線になっていないのよ……。
「こういうの見せとけば、
視聴者は食いついて来るんだろ……?」っていう、
使い捨ての道具にしかなっていなくて、
物語を構成する大事なパーツには
なっていないんだよ……。
適当に種まいて、
忘れた頃に芽吹いても、
それを踏みつけることしかしていない。
ってか、自分で何を撒いたか
完全に忘れてるし、
育てるつもりも摘み取るつもりも
ないだろ?っていうね。
伏線を張ること自体が
目的になってしまっていて、
物語が収束していく兆しが見えない。
「ハイっ!種まいたっ!何の種だと思う?
〇話で明らかにするから待っててね!!」
「お待たせしました!!朝顔の種でした!!
ちゃんちゃん♪」
ってのを、ひたすらあちこちで
繰り返されている感じ。
芽吹いていく過程が、
朝に花を咲かせ、昼には萎む過程が、
全く見えない。
丁寧に水をあげる過程が、
やがて新たな種を育む過程が、
全く見えない。
「答え合わせ」が大好きな、
最近の若者向けの作品かと思いきや、
「犬夜叉」を知らない世代には、
余計に理解不能な設定や
世界観になっているからね。
古参のファンを
ターゲットにしているようでいて、
それだとあまりにも
視聴者を舐めすぎだし、
新規ファンを獲得したいと
考えている割には、
説明がなさすぎる。
何をしたいんだか、
全くもってわからんわ。
これほどまでに「核心」がない作品も、
めずらしいと思うよ……。
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