「蓮華畑に寝転んでいたらね、盗賊の彼が迎えに来てくれたの!!」 「まるで少女漫画のエッセンスが圧縮、いや、凝縮されたような夢だね」 昨夜見たという夢の内容を嬉々として語る彼女の横で、私は苦笑交じりにコーヒーを淹れる。 夢よ覚めろとばかりに殊の外ブラックにしてやろうか。 それともここは、己の幻想がいかに甘ったるいかを思い知らせるために、砂糖とミルクを吐きそうなほど、たんまり入れてあげるべきか。 私はまるでいたずらっ子のように、これからの計画に思いを馳せた。