メルセデスとBMWには、エンブレムによる階級制度が存在する。 上級グレードと廉価版の差は、外観上細かい点で違いはあるが、興味のない人にはほとんど判別できない。 つまり、AMGの最高級グレードであろうが「ベンツ」だし、MのCompetitionであろうが「ビーエム」なのである。 しかし、そのヒエラルキー(カースト?)を意識している連中には、それがわからない。 自分よりグレードの低い同型車を見つけたなら、自分の優位性を示すために多少無理な車線変更を繰り返してでも、わざわざエンブレムを見せに来るおバカが多い。 僕はそんなヒエラルキーに加味するつもりはない。 さて、このマシン。 形は何の変哲もないステーションワゴンだが、中身はメルセデス最大のパワートレインを積んだAMG C63S。 これに、巨大なヒートエクスチェンジャーをぶち込み、吸気温度を下げた。 何ともいかついV8エンジンの谷間に存在する2つのタービンからつながるダウンパイプを、スポーツキャタライザーに変更。 また、エアクリーナーの交換で吸気抵抗を低減。 さらに、ブローオフバルブで、バッシュ―!と、時々発生する音の演出も追加。 これだけでも十分なパワーアップだが、今後のプログラムの調整で660hpから700hpを狙う、スーパーかー泣かせの存在に仕上がった。 アライメント等も入念に調整され、古い年式であるにもかかわらず完璧な状態。 ボディも新車以上に磨き上げられた。 そして、外観からこの変更に気付ける者は皆無だ。 事実、たとえ僕でもフロントグリルを入念にのぞき込まない限り、このクルマが化け物である事は判別できない。 そして、仕上げはヒエラルキーの最下層であるC180のエンブレム。 もはや、AMGである必要もC63Sである必要もない。 妙なエンブレムを見せに来る輩の心をズタズタにする実力を兼ね備えた、働く車の完成です。