PoEとTypeC

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PoEとTypeCは全く別物であるが、基本構想のある部分が共通であり、
この構想は今後の伝送概念の基本となると思われる。

PoEは来年にはIEEE802.3btが発表され、100W近い電力伝送が可能と
なるUSB-TypeCも同じ電力伝送が可能な構造となっているが、
一番の相違点はケーブル長である。PoEも初期段階のIEEE802.3af
ではPDの消費電力が少なく(10W未満)、このケーブル長は大きな
問題にはならなかった。
ところがIEEE802.3atが追加され、PDの消費電力が大きくなると、
PSE-PDだけの問題ではなく、線路、つまりLANケーブルの導体抵抗値
が大きな問題となってきた。

特に20mを超える辺りから、導体抵抗値による電圧降下が問題と
なっている。この点TypeCではケーブル長は2m未満であるため
大きな問題にはなりにくい。

本題に入る。同じ基本構想と思われるのは、伝送機器(媒体)間で
伝送開始前に認証が行われ、伝送仕様が決定される事を指す。
PoEではPD側に認証用の抵抗とチップが装備され、これにより
非PoE機器は識別され、送電を行わないためPoE/非PoE機器の混在
環境でも機器の安全が保たれる。

USB3.1の規格では認証はケーブルに組み込まれたEmarkと呼ばれる
チップで行われる。認証行為は同じでも、それが伝送機器か媒体
の違いは実は色々な問題を抱えてくる。

PoEの場合、ケーブルは前述の如く線路抵抗だけが問題になるので
あって、非インテリジェントであるため、メーカー等による識別
は無い。ところがUSB(以後はTypeCを指す)ケーブル本体に識別
機能があるため、コストもさることながらケーブルにおける差異が
生ずる。まだ、事例を見ないが、使用するケーブルによっては
接続機器の破損の恐れや、十分な機能が発揮出来ない場合があると
思われる。

さらにTypeCでは両端が同じプラグのタイプも存在するので、
クライアントの混乱も予想される。
しかし一番の問題はFAKEが出回ることで、これが恐ろしい。
それでも、最近の薄型の機器にはRJ45ジャックは装備出来ない。無理
矢理半開きカバータイプ等も作られたが、脱着時のトラブルが相次ぎ
USB仕様となっている。

TypeCは電力供給が従来より優れた構造となっているため、今後は
急速に普及すると思われるが、問題はTypeC以前にも存在していた
ネットワーク参加がタブレット等では有線では出来ない事にある。
Chromebookを含むPCではこれは既に可能となっているが、Android
ではまだだ、可搬性から無線でとの設計思想であることは理解するが、
有線を排除する理由は無い。TypeCでの電力供給が大きくなれば
PoEのような伝送方式は可能であるからタブレット等でも充電と同時
にデータ通信を可能にすべきと考える。

最後に今後展開されるであろう製品について予想(希望)したい。
ノートPCのUSBはTypeCに置き換わると思われるが、充電もこれを
利用するためにPoEのPDとしての充電器が製作される事を期待する。
現行のPoEはIEEE802.3atが最大電力25(30)wであるが、来年初頭
公開されるIEEE802.3btでは100Wが可能となる。この規格ならば
USB3.1でのTypeCの最大電力供給が可能となり、デスク周りの
複数の機器の電源関係のケーブルが一気に整理出来る。大きな
技術の壁もないが、前述のケーブルの認証の精度が必要であること
を改めて記しておく。

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