Mar
17,
2011
一粒のみかん
「なんじゃこりゃ・・・」
異様な光景と匂い、黙々と東へ歩き続ける人、人、人。
明るくなるや否や車で京都を発ち、渋滞や寸断された道路をかいくぐりその日の内に実家に辿りついた。
幸い、母は無事で小学校に避難していた。
ただ、夜中だったので他の方々に迷惑が掛かる為呼び出す事を諦め、学校の周りで憎らしく燃えてる民家の火を目に映しながら朝まで待機していた。
夜明けとともに校内放送で呼び出して貰い、会えた。
顔色こそ恐ろしさを滲ませてはいたが、元気だった。
手には貰ったというみかんを握りしめていた。
荷物を取りにに行きたいと言うので、全壊の実家へ戻り京都へと向かった。
別世界を抜けた辺りでふと我に返った。
喉の渇きが夢から醒めさせてくれた・・・。
30時間以上水一滴も口にしていない事に気付くと、母が握りしめていた「みかん」を一粒・・・甘い!!
うちの母は難を逃れたが、「たまたま」だったと思っている。
助からなかった人と助かった人、すべてを無くした人や被害さえも被らなかった人・・・なんら違いは無い。
救援、復興支援と続く道すがら、何も知らず関わらずそれぞれを生きてる人の存在も時として被害を受けた人の支えになる。
母がくれた一粒のみかんが教えてくれたもの・・・それを忘れる事無く歩み続けたい。
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