初恋の悪魔~真相は掴めない光か影か~
Oct
4
「この作品は事件の当事者に真相を直接語らせない」と
考察をしている方がいて、ものすごく腑に落ちた。
当事者には直接光を当てず、背景の光でもって
当事者の影を映し出しているようにも思えてきた。
まるで、舞台のホリゾント幕だけ照らして
役者の影を浮かび上がらせるように……。
下記サイトの「シルエット」のようなイメージ。
舞台照明用語集
https://wickedchild.nobody.jp/term/lighting.html
もしかしたら、「エフェクトマシンで投写された影」の方が
近いかもしれない。
周囲が光を当てないと、途端に掻き消えてしまう影。
照明大辞典 エフェクト・マシン
https://weblio.jp/content/%E3%82%A8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%EF%BD%A5%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%B3
この作品はたぶん、刑事が犯人や被害者、
事件そのものに迫る物語ではなく、
一般人に近い変わり者たちが、犯人や被害者の人物像、
事件の全体像に迫ろうとする物語なのかなと。
捜査権を持たないし、
持っても深入りできない彼らが追うのは、
あくまでも「像」なので、
光を当てないと消えてしまうのかなと。
本来は、本人に直接確認しないと
わからないことが多いけど、
あえてそれを封じることで、
周囲の証言や当時の状況から
推測せざるを得ない状況を作っているのかなと。
そうすることで、他人の状況や心情を類推する
必要性や重要性を描くと同時に、
危険性や愚かしさも描いているのかなと。
相手がどんな人物なのか。
どんな気持ちで何をしたのか、されたのか。
それを考えることはすごく重要だけど、
時として見方を誤り、像が歪んでしまう。
けれど、考えることを辞めてしまったら、
思い描いていたはずの人物像や全体像が
全て消えてしまう。
まるで、あることないこと騒がれた挙句に
忘れ去られた事件のように、
消え去ってしまう。
そしたらまた、どこかで似たような悲劇が
起きるかもしれない。
ボタンの掛け違えのように、連鎖のように。
だから、考えることを放棄してはいけない。
そういうことなのかなと。