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posted 2016-09-22 19:57
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
太陽を見たのはまだ子どもの頃 あの頃は温暖化の過程を終え 超温暖化へ進み 冬でも三十度を超える暑さだった インターネットで年配の方が書き込む 季節感があった昔の話を 実体験のない私は知らない 冬に雪が降り 雪だるまをつくったとか 秋には紅葉が綺麗だったとか 春には桜が咲いて華やかだったとか 私が画像...
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posted 2016-09-22 05:51
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
校庭の羅針が迷走 体育着に吸収する襷 時間を掘るシューズ 鳴き続ける蒸発の言葉 新奇さもないポエム 黒板の穿孔した辛苦 エッジのずれた折り紙 偏向する脱出の準備 凸凹の机上を乱舞 汚れた指で螺旋と鋭角 黒光りのコサイン 鋭いほど嬉々なる興奮 生命線から教師の粉 包囲するニヒルな微笑 無地を想起する四...
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posted 2016-09-20 14:43
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
皮膚に少しの緊張 秋がやってきた 溶けてしまいそうな暑さは もう思い出の風になり 肩、肘、膝あたりから 入ってくる心地よいひんやり さら、さら、さらりん 落ち着くでしょう そんな秋の声が聴こえる 葉っぱの鈴がしんみり 我にかえる声になり 駅への道のりさえ さすらいの旅になって 日々のひたむきに寄り添...
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posted 2016-09-20 06:45
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
小さな風をおこし 君は走りぬけてゆく その無邪気な微笑みと まっすぐな瞳を忘れないで 自由な翼が折れて飛べなくなっても 君の澄んだ想像力さえあれば 目的地にたどり着くからだいじょうぶ 君は素晴らしい 微笑みの持ち主だから 君はやさしい こころの持ち主だから どうか その瞳の輝きを忘れないで...
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posted 2016-09-19 15:43
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
我々の豊かな暮らしへ 原子の力は明るく応えてくれた 目に見えないその存在に 愛着がわく具現物が欲しかった だがお前の力は 我々を脅かす存在になった ゴジラよ 今まで我々の味方だったはず なぜ 共存を拒むのだ なぜ 暴れるのだ 破壊し続けながら進化を遂げる その生き方は悲しみへと進む産物であった 愛情...
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posted 2016-09-19 06:14
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
さあ さあ いらっしゃい いらっしゃい 今日はとびっきりの詩が入ってるよ そこのお嬢さん 湿気た面していたら イケメンも振り向かないよ 北海道から入荷した この『恋の成就記念日』を読んでみな 新しい恋が始まるよ 読まなきゃ損、損 さあ さあ 読みねえ 読みねえ ここの詩はみんな 金なんて要らねえよ ...
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posted 2016-09-18 00:26
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
タタン タン タン ピアノの黒盤を飛ぶように だって あなたの笑い声が教室に響き しあわせがひろがって あなたはわたしの名前を呼んで 英語の教科書を見せ これっ なんて読むの って ただ それだけなのに それだけでない思い 胸が痛くなって いつも夢に向かっているあなた たいそうな夢もないわたし だか...
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posted 2016-09-18 00:24
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
前に進むムーンウォーク ぎこちない朝の始まり いつものコンビニストア いつものお兄さん おにぎりは別にしますか ああ すぐに食べるから 手にしたおにぎりで ズボンのポケットをふらませる私 一向に芝居が上達しないふたりの会話 階段か エスカレーターか 優柔不断なティミッドワーカー 結局 エスカレーター...
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posted 2016-09-18 00:22
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
どうやら水素が 二重結合された炭素に トランス状態で付いていると ヤバい、らしいよ パクパク 僕ら日本人はいつの間にか 腐らない食物を摂取して 便利さ 手軽さ 安さ の 副作用がジリジリと 現れ出しているんじゃん なんて言われているよ 僕は専門家じゃないから 正確なことはわからないけど なんだか ヤ...
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posted 2016-09-18 00:19
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
愛を知らぬ者の 愛という言葉は 空気に触れた瞬間 嘘という言葉に変わる 父の口から 愛という言葉を 一度だけ聞いたことがある 母親は俺を産んで すぐに逝ってしまった おっぱいを欲しがる 赤ん坊を残して どれだけ無念だったか 「どうかこの子が 幸せになりますように」 そう願ったことだろう それが俺の信...