これはLANケーブルの根本の部分を強く上下左右に折り曲げたり、引っ張ったり
して導通が維持されている事を確認する試験です。
LANケーブルの99.9%はプラグの中で圧着加工でケーブルと先端のピンを接触させます。
24AWG(電線径0.51mm)程度の太さがあり、適正な加工方法で施工すれば通常は導通
接触は維持され、少々のベンディングにも耐えることができます。
ところが電線径がこれより細くなったり、加工が不適正の場合には導通が不安定になる
ケースがあります。加工が不慣れで先端にケーブルが届いていない場合などは特に厄介で、
通常の導通試験はPASSするのですが、ケーブルを動かしたりすると接触不安定となり、
面倒な故障が発生します。
いっそ断線していれば不良加工と断定出来るのですが、なまじ接触があるため検出が
出来ないのです。
こんな時、ベンディング試験を行うのですが、この試験が出来るテスターは市販では
高額で、一般の方々ではちょっと手が出ません。
こんな場合、写真のようなテスターを使うと安価で簡単にベンディング試験が可能と
なります。
構造は簡単で、8本のケーブルを全部直列につながる結線とし、両端をテスターの導通
試験端子に繋ぐだけの構造です。
テスターをパルス発生が出来る専用の導通試験機にすれば更に精度は向上します。
追記:
この機能を含むテスターは150万円もするのです。市販のLANテスターは3500円程度
からせいぜい50000円です。
このベンディング検査が必要なのは、心線の先端がプラグにしっかり差し込まれてい
ない、いわゆる「素人加工」だけだったのですが、最近は心線が細いLANケーブルの
完成品が出回り、この製品精度が異常な人件費高騰などが理由で低下しているのです。
本題から外れますが、中国の人件費高騰は異常値です、「欲の桶には底がない」と
言いますが、正に天井知らずの感があります。
この異常な人件費を吸収するために生産現場では検査工程を減らすなどの対応をします。
ただでさえ技能レベルが低いところで、それをカバーする検査工程を削減すれば、潜在
不良品が生まれます。
概ねどこの生産現場も機械化されず、手作業での処理がされているのは、意外に複雑で
熟練が必要な箇所です。
現在の日本では見かけませんが、この工程の作業員は「出来高」です。問題は作業者
の追跡(トレーサビリティ)が、製品によっては全く行われておらず、品質管理も
不十分な事を想定し、複数の検査工程でチェックをする仕組みでしたが、これが
人件費高騰で変化しています。
日本では考えられないことですが、製造作業者は、この検査工程の存在を「あて」に
して作業しているとしか思えないケースが多く、この検査方法の変更は今後、大きな
問題になると予想します。
わかお かずまさ
VegaSystems
#LAN_PRO