Mar
14,
2013
夏草(仮)
流れだした列車の窓には、「鉄男」達が三脚を立て待ち構えている。
三ノ宮へ向かう車内は、日曜とあってのどかな雰囲気だ。
加速した電車は、瞬く間に市内を抜け山崎の景色が飛び込む。
何年か振りのその景色は、小学校の頃とあまり変わりなく感じた。
40年の時間が、止まってるような錯覚を覚えた。
大阪を抜け西宮を過ぎると、その頃にどっぷりと浸っていた。
昭和47年、西ノ宮球場で阪急×近鉄戦を観、徒歩で甲子園まで行き阪神×中日戦を観戦。
当時、小学6年生の野球少年2人は、「阪神子供の会」に入っていた。
年会費1,000円で阪神の試合は全戦無料だったので、甲子園へはよくタイガースの試合を観に行っていた。
その日は、偶々西ノ宮球場へ行こうと言う事になり、甲子園とは違う親近感のある野球をしばらくは楽しんだ。
しかし、のんびりと野球観戦をしてる大人に馴染めない二人は、顔を見合わせ、「やっぱ甲子園行こか!」
一目散に門を出たはいいが、ポケットには帰りの電車賃しかない。
「歩いて行こ!」
「線路沿いに歩けば行けるやろ!」
「とりあえず南や!」
無謀な行動だったが、無事に甲子園の試合を観られたのだから笑える。
窓から見える景色がモノトーンになり、その当時と重なる。
無粋な車内アナウンスが淡い過去から原色の今へ引きずり戻す。
ちょうど半年前、珍しく家の固定電話が鳴った。
いまどき固定電話に掛けてくるのは珍しい。
セールスの類と思い、愛想の無い声を出すべく受話器を取ると、
「もしもし・・・」
聞き覚えのある声がした。
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続く・・・つもり
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