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BCA土曜学校のコラムVol.70 〜干支〜

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BCA土曜学校のコラムVol....
● BCA土曜学校のコラムVol.70●

干支

 2020年は、十二支(じゅうにし)のスタートのねずみ年です。
十二支は、子(ね)・鼠、丑(うし)・牛、寅(とら)・虎、卯(う)・兔、辰(たつ)・龙、巳(み)・蛇、午(うま)・馬、未(ひつじ)・羊、申(さる)・猴、酉(とり)・鸡、戌(いぬ)・狗、亥(い)・猪の順で、最後のいのしし年からねずみ年に戻って繰り返されます。
それに、10通りの甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸の十干(じっかん)が組み合わせて日本の暦として用いられてきました。これは月や日にち、方角に割り当てられたりしますが、年についても1年毎に割り当てられています。十干と十二支を合わせたものが干支(えと)で、今年は正確には「庚子(かのえ・ね)」です。ひとまわりして再び戻ることを還暦(かんれき)といいます。

 なぜねずみが一番目なのかについてこんな話が言い継がれています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 神様が動物たちに、元日に神様のところに最初に到着したものから12番目のものまでを1年交代でその年の大将にすると言いました。
 元日の朝、動物たちは1番になるとはりきっていましたが、ねこはその話を聞き漏らしてしまいました。ねずみにたずねた時、ねすみはわざと次の日の日付を教えました。
 当日は、足の遅いうしが夜明け前に出発しました。その様子を見ていたねずみが、こっそりの背中に飛び乗りました。そんなこととは知らないウシが神様のところに行ってみると、まだ誰も来ておらず門も閉まったまま。我こそが1番だとうしは喜び、門が開くのを待っていました。
門が開いたとたん、ねずみは牛の背中からネズミが飛び降り1番になりました。残念ながらうしは2番となり、それからとら、うさじ、たつ、へび、うま、ひつじ、さる、とり、いぬ、いのししの順で到着しました。1日遅れて到着したねこは12番まで入れず、それからねずみを恨んで追いまわすようになったのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ねずみの語源は、根の国に棲む動物から「根棲み(ねずみ)」、暗い(根)ところに棲むから「根棲み(ねずみ)」、「穴棲み(あなずみ)」の音の変化、食料を盗む生き物「盗み(ぬすみ)」・「寝盗み(ねぬすみ)」などいろいろあるようです。
 十二支の「子(ね)」という字は、頭部が大きく手・足のなよやかな乳児の形からきた象形文字です。繁殖するや新しい命がうまれるという意味も含まれており、ねずみ年は新しい運気のサイクルの始まりであることから、成長や未来への可能性を感じさせる年と言われています。
 
 2020年が、BCA土曜学校の皆さんの輝かしい未来に向けて大きく成長する年になるよう心から祈っています。

(ねずみの絵はBCA長友裕子先生の作品です。)


#コラム

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BCA土曜学校のコラムVol.69 〜令〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.69●


 日本では、12月12日に今年の漢字「令」が公表されました。これは、日本漢字能力検定協会が、その年をイメージする漢字を公募し、最も応募数が多かった一字を選び12日の「漢字の日」に京都の清水寺で発表するものです。
 NHKのニュースでは、「令」が選ばれた理由として、新しい元号の「令」和に明るい時代を願う国民の思いが集約されたという協会からのメッセージを報じていました。

 「令」という漢字は、頭の上に頂く冠「亼」と、ひざまずく人「卩」からできている会意文字で、人がひざまずいて頭を垂れ神様の声を聞いている様子を表し、そこから「命ずる」「いいつける」などの意味を持つようになったと考えられています。
 他にも様々な意味を持つ漢字ですが、大きくまとめると、神によって与えられた権威のまえに多くの人がひざまずいて聞き従うという意味と、「令」という言葉自体が持つ神聖で美しいというイメージから、「立派」「美しい」「良い」という意味も加わったということのようです。

これらをふまえて考えると「令」のつく熟語もなるほどと思えます。

「令」のつく二字熟語から
・政令(せいれい) 政治上の法令や命令。
・指令(しれい)  指揮や命令をすること。
・令月(れいげつ) よい月。美しい月
・令姿 (れいし) 女性や風景などの美しい姿。
「令」のつく四字熟語
・至上命令(しじょうめいれい) 絶対に服従しなければならない命令。
・朝令暮改(ちょうれいぼかい) 朝出した命令を夕方には改めること。
・社交辞令(しゃこうじれい)   うまくつき合うための礼儀的なほめ言葉や挨拶。
・巧言令色(こうげんれいしょく) うわべだけ愛想よくとりつくろうこと。

 一つの漢字から広げて見る言葉もなかかな面白いものです。
 「令」のつく言葉はまだまだありますので是非調べてみて欲しいと思います。

 BCA土曜学校では、準会場とて年に2回日本漢字能力検定協会の漢字検定を実施しています。児童生徒の皆さんはもちろん保護者の皆様にも受検して頂いています。
 次回は2月16日です。興味のある方には是非チャレンジして下さい。

 新年号の「令和元年」もまもなく終わります。
新しい年2020年がどのような年になるか、一年後にどんな漢字が選ばれるのか楽しみです。
 みなさまにとって素晴らしい年となりますように・・・。
#コラム

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BCA土曜学校のコラムVol.68 〜 マタギ〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.68●

マタギ
 
 BCA2で行われたシアトル熱中オープンハウスで、奥会津の「マタギ」猪俣昭夫さんの講演がありました。

 「マタギ」とは、東北地方・北海道から北関東・甲信越地方にかけての山岳地帯で熊やシカなどの獲物を獲ることを生業とする猟師のことです。
 「マタギ」の語源は、
①アイヌ語の「マタンギ」「マタンギトノ」が訛ったという説。
②山をまたいで歩く「マタグ」からきたという説。
③「マタハギ」お釈迦様が木の下で瞑想し悟りをひらいた木「もあだ」からとれる強い繊 維を身に着けていたという説。
⑤山に住む鬼よりも強いという意味で「又鬼」からきたという説。
など様々あります。

 猪俣氏は、奥会津で自然との共生を考えている「マタギ」です。
食べ物だけでなく、空気や川のせせらぎや鳥のさえずり、草の匂い等々
五感で感じるもの全てを栄養として「命」と向き合ってこられた本物のマタギからのメッセージにはずっしりとした重みがありました。

「熊はすごい能力を持っている。」と語る声からは、
熊の生態を熟知し、熊を敬愛していることが伝わってきました。
「熊と対峙する時は、自分の命を見、自分の命を感じる。」
「自分の強さや弱さ、限界を感じることができる。」
「自然は、熊とミツバチが保っている。そして、マタギが熊を打って熊を生かしている。」
「狼が絶滅し自然の生態系が変わった。マタギは狼のかわりをしているのだ。」
「獲物の命をとることで、全ての命が自然に生かされていることを知らされる。」
 これらは、自分の生き方に誇りを持っておられる言葉でした。

「人間は皆、強さを持っているのに、あきらめて強さを出さずに生きている人が多い。」
自然に接する機会がない人ほど、心があらぶっているという現代人への指摘も頷けるものでした。
「マタギ」という職業を通して自然に触れてきた本物から伝えられる言葉には説得力があり、心に響きます。

 人間のために自然を利用する時代はもう終わりにしなければなりません。地球には多くの生物存在しています。それらすべての存在に意味があり人間も自然の一部として生かされていること。命の重みと、動植物とともによりよく共存することの大切さを考えさせられた時間でした。
 
#コラム

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BCA土曜学校のコラムVol.67〜敬語〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.67●

敬語
 
 小学部5年生と6年生、中高部国語2で「敬語」の学習をしました。
 「敬語」とは話し手の敬意を表す言葉です。「敬意」とは敬う気持ち。「敬う」とは自分より目上の人を、大切にしようとする気持ちを表します。
 「敬」は、「苟」と「攴」組み合わせた会意文字です。羊と角と人と口を合わせた字で、人が羊の角に触れて、はっと驚いて気持ちを引き締める様子を示したことから、人や物事に対してそのような気持ちで接することを表すようになり、礼を持って人と接するという意味で使われるようになったと言われています。

 授業では、相手を高めて敬意を表す尊敬語、自分を下げることで相手を高める謙譲語、「です」「ます」「ございます」をつける丁寧語について、具体的な例を示しながら学習しました。
 アメリカで育った生徒さん達に、日本の敬語をどのように思ったのか、5年生、6年生の先生方にも聞いてもらいました。
 
<5年生>
・敬語は、相手を上げるという日本の文化・伝統を守るために必要だ。
・偉い人と年上の人にリスペクトを表すためにできたのだと思う。
・敬語を使わないと、勉強をしていない・教養がない子どもだと思われてしまう。
・丁寧にしゃべると気持ちがいい。
<6年生>
・先生とか年が上の人を尊敬している感じが伝わる。
・もしなかったら人間関係がうまくいかない。
・勉強しなければ感じなかったが、ない社会もフレンドリーで平等でいいと思う。
<国語2>
・日本には、年上の人を大事にするという考えが今でもあり、その考えをみんなで守って いる。社会の中で上手に生きていくため、トラブルをさけるために必要。
・敬語をつかうと優しい気持ちになり、相手も優しい気持ちを返してくれる。会話する人 もまわりで聞いている人も、気持ちよくなる。
・礼儀正しくすると、相手に認めてもらえる。つまり、自分のためになる。
・初めて会う人や目上の人に「敵意はありません」と話しながら表せるので、とても便利 で日本の社会に必須なんだと思う。
 これから外では、お父さんお母さんではなく「父」「母」を使うようにしたい。ボランンティアの終わりには「お先に失礼します。」と言うようにしたい等、学習を実生活に生かそうとする声も聞こえてきました。

 良好な人間関係を築くためには相手の人格を尊重することが大切であること、美しい言葉は話し手の品位を保つこと、そしてそれは自分自身が得をすると感じたこと、また英語の良さに気づけたこと、素晴らしいと感じました。
 言葉は時代とともに変化しています。敬語も、年下の方が上司だったりする社会で人間関係の在り方の変化に応じて変わってきています。でも、相手を大切に思う気持ちさえあればどこの国でもどのような場にいても、距離感を持って上手に話ができると改めて思えた時間でした。
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BCA土曜学校のコラムVol.66 〜ハロウィン〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.66●

ハロウィン
 
 ハロウィンは、アメリカの子ども達が楽しみにしているイベントの一つです。
 BCAでは、思い思いの衣装で登校した子ども達の笑顔があふれる一日でした。クラスごとの記念撮影に保護者の皆様がたくさん来校され、お子様の仮装した姿をカメラにおさめておられる様子がとても印象的でした。先生方もオフィス職員も、今年のテーマ「クレヨン」仮装で参加しました。
 
 家に帰り、近所の家々を「Trick or treat. 」と言ってチョコレートやあめをもらって回るのはもちろん、ジャック・オー・ランタンを作るために、カボチャの中身をくりぬいたり今年の仮装を考えたりするのもとても楽しいのだと、土曜学校の生徒さんが教えてくれました。
 もともとは古代ケルト人がはじめたお祭で、秋の収穫を祝い悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったということです。今は祝祭本来の意味はほとんどなくなっていますが、家族で、地域で、そして学校でみんなが楽しむ子ども達のための年中行事というのがアメリカのハロウィンです。

 日本では、最近若者達が仮装を楽しむために夜の街で遊ぶイベントとなっているようで、渋谷センター街で開催されたハロウィンイベントに、渋谷区が1億円かけて警備にあたったというニュースが流れていました。迷惑行為が問題となり、数百人規模の警察官を配置して警戒にあたる夜が、日本の、渋谷のハロウィンだとすると悲しい気持ちになります。

 言葉は国の歴史や文化に根ざしているとは、このようなことをさすのでしょうか。
 私も、子ども達の様子をこの目で見て、楽しんでいる雰囲気を肌で感じて本物のハロウィンの意味がわかりました。
 言葉の根底にあるものを知ることが、本当の言葉の意味を理解することにつながることを改めて感じています。

 「ハロウィン」という言葉を、この時期の季語として自然に使える子どもさん達との出会いをありがたく思っています。
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BCA土曜学校のコラムVol.65 〜写真で俳句〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.65●

写真で俳句
 
 秋も深まり、風も冷たくなってきました。色とりどりの葉が風とともに舞う様子や木の下に落ち葉が重なる様子はとても美しい秋の風景です。
 BCA2の駐車場の真っ赤な紅葉や落ち葉もとても鮮やかです。今年も紅葉は見事な赤をまとい、落ち葉は落ちるのがもったいないほどの美しい色を見せています。写真を撮りながら眺めていると、校長先生が、「ベルビューは秋が一番きれいなのよ。山の紅葉より、町の紅葉がきれい。」と声をかけて下さいました。

 「写真からどんな言葉が出てくるかしら。」というお話を聞いて、基礎国語で写真俳句の授業をしてみました。
 はじめに森村誠一さんの写真文章俳句から数点の写真と俳句を紹介しました。難しい言葉もありましたが、何がどのように映っているか、森村さんは何を感じているかを確認しながらスライドをめくりゴールをイメージしてもらいました。

 次にお題の写真を提示し、写真から言葉見つけです。
「赤、緑、ピンク、白、緑、紅葉、葉っぱ、木、空、コンクリート、灰色、草」
 五感を働かせて、聞こえる音や匂い触れているものも想像してみましょうと話すと、
「サクサク、ポロポロ、ひらひら、ヒュー、ピーピー-、風の音、冷たい、あったかい色、色がみみたい、赤の絵の具、オレンジの絵の具、色がいっぱい、赤が燃える、緑の草、白い空、空が画用紙、絵みたい、じゅうたんみたい、ああ秋、きれいな秋、葉っぱが落ちる、寒そう、寒い絵、明るい、嬉しくなる」などの言葉が出てきました。
 
 写真を見て浮かんだ言葉と感じたことを組み合わせて5・7・5の型に入れてもらいました。

○オレンジと 赤の絵の具 キャンパスに
○寒い日に 赤が燃えそう 空に映え
○秋の葉は あったかい色に なっていく
○赤いもみじ ポロポロ落ちる 色紙みたいに
○冷たい朝 風が落ち葉を 持ち上げる
○赤い木に ピーピー鳴る葉 もみじかな

 知っている日本語をしぼりだして一生懸命考えたそれぞれの一句です。
 これを機会に、自然にふれて言葉を広げる楽しさを知ってもらえれば嬉しいです。
#コラム

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BCA土曜学校のコラムVol.64 〜短冊〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.64●

短冊
 
 国語2で「新しい短歌のために」「短歌を味わう」の学習のあと、秋の短歌を詠み書写学習もかねて短冊に歌を書きました。それぞれの素敵な歌は、上の句と下の句の二行で上手に短冊におさまりました。
 
 短冊は、歌や俳句や絵などを書く縦1尺2寸、横2寸縦長の料紙で「たんじゃく」とも読まれ、短籍・短尺・短策・単尺とも書かれます。色紙とともに日本独特の書画用料紙として使われてきました。
 もとは簡単な通信に使われていましたが、神仏への願いや占い、呪術にも用いられるようになり、さらに後に短歌や俳句を詠む際に使われるようになりました。
 歴史は古く「日本書紀」にも用例が見られます。当初は寸法が一定でありませんでしたが、14世紀中ごろに書式の規定が整い和歌を書く料紙として確立していたと推定されています。
 現在は特にきまりはありませんが、今回は和歌を書くときの書式に従って、歌全体を2行、上の句は上から3分の1の線に文字が半分かかるようにする(三つ折り半字かかり)を意識して書いてもらいました。
全員集中した静かな教室で、短時間で丁寧に仕上げました。

 生徒さんが詠んだ短歌から10首紹介します。

〇木の色はオレンジや赤美しい 葉っぱのにおい秋のにおい
〇寒い夜ひとりで歩く帰り道 家で心の暖炉をともす
〇朝起きて窓から見える暗い影 また日が出る時を待ち続けている
〇木から落ちいろんな色で風にのり オレンジ黄色美しい秋
〇バス停で冷たい風に暗い空 雨霧静かに秋がはじまった
〇暗い朝外出てみれば霧かかり 静かに雨の音が響く
〇秋の色オレンジかぼちゃ思い出す ハロウィンの夜恋しい気持ち
〇曇り空あたってくる風つめたいが 見上げた木の葉あたたかい色
〇秋の風色とりどりの葉が躍る 夏も終わって少し悲しい
〇秋の夕べ風がいたくて家入る お茶の思い出母のあたたかさ

 どこで何を見てどのような思いでいるのかを想像しながら、一人ひとりの豊かな感性を味わっています。
  
#コラム

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BCA土曜学校のコラムVol.63 〜 さらに「紡ぐ」〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.63●

さらに「紡ぐ」
 
 「紡ぐ」は、繊維を引き出しよりをかけて糸にするという意味です。「思いを五・七・五の言葉に紡ぐ」のように言葉をつなげて文章や詩歌などをつくる場合にも用います。

 国語1で「空を見上げて」を学習し、東日本大震災の被害を受けた女川町の中学生の五・七・五にBCAからの七・七を紡いでもらいました。皆さんのあたたかい心が込められた素敵な言葉がたくさんできました。
 前の時間に学習した「引用」のパターンに従い、作者の心情をあらわす根拠となる言葉を示して鑑賞文を書いてもらったところ、女川の中学生の言葉に紡いだ七・七の思いがさらに鑑賞文として紡がれ、言葉の力を考えるいい学習になりました。

〇夢だけは 壊せなかった 大震災(女川)
 こ の女川の中学生の五・七・五に紡いだ七・七と鑑賞文を二つ紹介します。

七・七 
◇夢に向かって また立ち上がろう(アメリカBCA)
鑑賞文  
 〇〇〇〇は、BCA土曜学校の国語1で一緒に勉強する仲間だ。
「夢に向かって また立ち上がろう」
 この七・七を選んだ理由は、私の考えと似ていたからだ。すぐそばで声をかけているかのような「また立ち上がろう」は、震災で悲しむ人々の心に希望を与えたいという気持ちがこもっている。私もどんな困難があろうと夢と希望をもって前に進んでいってほしいと思ったのでとても共感できた。この七・七に人を動かす力を感じた。

七・七 
◇壊されたのは 心じゃない(アメリカBCA)
鑑賞文  
〇〇〇〇は、BCA土曜学校で友だちになった真面目で優しい人だ。
「壊されたのは 心じゃない」
 この言葉は心にずんと響いたので選んだ。住んでいた家も通っていた学校も何もかも津波で壊されたけれど、家族も亡くなってしまったかもしれないけれど、あなたの心はあなた自身の中にしっかりとある。心があるから、夢も希望も未来もあるんだよ。だから頑張ってという〇〇〇〇さんのメッセージに感動した。とても素敵な言葉だと思った。

 教科書に紹介されている言葉に、生徒さんの豊かな感性が加わりどんどん広がっていく言葉の世界、とてもいいなぁと思いました。
 言葉は、人の心を癒したり励ましたりする力を持つことを感じてくれたことを嬉しく思います。
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BCA土曜学校のコラムVol.62 〜 美しい日本語〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.62●

「美しい日本語」
 
 国語2で、大岡信さんの「言葉の力」を学習しました。言葉と人間の関わりや美しい言葉とは何かについて考えさせられる教材です。
 アメリカで生活しながら一生懸命日本語を学ぶBCA土曜学校の生徒さんは、どんな日本語を美しいと思っているのか知りたくて、授業のはじめに「美しい」と思う日本語は何かを問うてみました。

 美しい日本語と言っても様々な切り口があるので、響きが美しく意味に奥行きが感じられる大和言葉から25の言葉を示し3つの言葉を選んでもらい集計したところベスト5は以下の通りでした。

1位 【うららか】 空がよく晴れて穏やかな様子。明るく晴れ晴れとしている様子。
2位 【せせらぎ】 浅瀬に水が流れる音。小さな流れの音。
3位 【恐れ入ります】 すみませんの丁寧語。感謝の気持ち、申し訳ないと思う気持ち。
4位 【泪に沈む】(なみだにしずむ) ひどく泣いて、嘆き悲しむ。
5位 【心を寄せる人】 好きな人。好意を持った人。

 「心を寄せる人」という言葉を選んだ人に理由を聞いてみると、「好きな人がいる」というストレートな言葉より心の中の思いが深いように感じられる。愛する気持ちをあたためているように感じる。優しくあたたかい気持ちが伝わってくるなどという答えが返ってきて驚きました。感性の豊かな生徒さん達です。

〇提示したその他の大和言葉
・心待ちにする ・思いのほか ・このうえなく ・お手すきのときに ・胸を打つ
・おもてなす ・胸にしみる ・面影 ・心配り ・あけぼの ・暮れなずむ
・宵の口 ・うららか ・心ばかり ・奥ゆかしい ・おおらか ・懐が深い
・心を同じくする ・恐れ入ります ・星月夜 ・思い初める ・馴れ初め

 大和言葉は、古来から伝わる日本固有の言葉です。かつては和歌や雅語(平安時代に使用された洗練された上品で優雅な言葉)を指していましたが、今は漢語、外来語ではない言葉を指すようになりました。
 響きがやわらかく耳なじみがよい大和言葉は、堅苦しさを感じさせない丁寧さと品の良さがあります。また、例えば「感動」という漢語が「胸を打つ」「胸にしみる」「心に響く」などに置き換えられるように、様々な言葉で表現することができます。

 豊富な語彙で自分の心を豊かに表現するために、これからも積極的に大和言葉に触れ「美しい日本語」を習得していってほしいと思います。
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BCA土曜学校のコラムVol.61 〜「言葉を豊かに」〜

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● BCA土曜学校のコラムVol.61●

「言葉を豊かに」
 
 美しい緑とさわやかな風、ベルビューは夏に向かうとてもよい季節を迎えています。
鳥の囀りが聞こえる朝、夜8時を過ぎても沈まない太陽、キラキラ光る湖面、どこにいても素敵な時間が過ごせる6月です。
 
小学部の5年生と基礎国語で漢字の成り立ちについて学習しました。
 今から3千年以上も前に中国で生まれた漢字を、アメリカの皆さんが学ぶことはとてもすごいことだと改めて感じています。
  
鳥が鳴くの「鳴」は「口」と「鳥」を組み合わせてできた漢字です。二つの字を組み合わせて新しい意味を表しています。
 鳥は鳴くことでメッセージを伝えています。鳴くのはオスで、縄張りを宣言したり、仲間に危険を知らせたり餌があることを知らせたり、求愛のためにメスを呼んだりしているのだそうです。

 鳥や獣や虫は「鳴く」と表記するのに対して、人間の行為は「泣く」と書きます。
泣くの「泣」は、流れる水と手足を広げて立つ人を組み合わせてできた漢字です。涙がじわっと出てくる感覚は、喜怒哀楽の感情を持つ人間だけがもつものです。
「喜」は、よいことに出会って非常に満足し嬉しく楽しく快い気持ち。
「怒」は、不満・不快なことがあって、がまんできない腹立たしい気持ち。
「哀」は、胸がつまるように切なく、心が痛んで泣けてくるような気持ち。
「楽」は、心が満ち足りて,うきうきするような明るく愉快な気持ち。
人は嬉しい時も、腹が立つ時も、悲しい時も、楽しい時も涙を流して「泣」きます。

 哀泣(あいきゅう) 感泣(かんきゅう) 泣顔(なきがお) 泣言(なきごと)
泣虫(なきむし) 号泣(ごうきゅう) 啼泣(ていきゅう) 泣上戸(なきじょうご) 泣別れ(なきわかれ) 泣落し(なきおとし) 男泣き(おとこなき)半泣き(はんなき)
泣叫ぶ(なきさけぶ) 泣付く(なきつく) 泣伏す(なきふす) 泣尽す(なきつくす) 悔し泣き(くやしなき) 泣寝入り(なきねいり) 人泣かせ(ひとなかせ)
忍び泣き(しのびなき) 嬉し泣き(うれしなき) 泣明かす(なきあかす)
 泣崩れる(なきくずれる)など
「泣」を含む言葉だけでもたくさんあります。

自分の気持ちをできるだけ的確に相手に伝えられるように語彙を増やして、私たち人間だけが持つ言葉で、人間だけがもつ感情を、豊かに表現できるようにしていきたいですね。
 
 皆さんはどこでどのような夏休みを過ごすのでしょうか。
 夏に五感で感じたことを、自分の言葉で表現してみてください。きっと想像力が膨らみ、言葉のイメージが広がることと思います。
では、よい夏休みを。
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