ゆうこ新聞・創刊までの歩み ●告知編●
Nov
4
遠方から飛行機で受診に訪れる患者がいるくらい人気のある病院、いったいどんなドクターが?
私には、数年前に天国に行ってしまった大好きだった叔母がいる。
その叔母の親友、ミナコさんが病院に付き添ってくれた。
本当に心強く、今も感謝している。
待合室は人で溢れかえり、病院の外にも下手な人気ラーメン店以上に並んでいる様子を、
腫れあがり半分しか見えない目でしばらく眺めていた。
診察室のドアの向こうには、ほんの数分であの行列の意味がなんとなく分かってしまうような人物がいた。
全ての検査結果が出るのに、一週間ほどを要し、その人物は言った。
その声はとても大きく、そして勢いがある。
「最初は、関節リウマチを疑ったけれど、君の年齢!そして数値!身体の炎症!
全てトータルすると別の病名が浮かび来たよ」
彼は紙に、
「全身性エリテマトーデス=systemic lupus eryhtematosus」
と書いた。
ふと頭の中に、エーデルワイスの曲が流れた・・かどうか覚えていないけど、
とにかく初めて見る文字の羅列に戸惑い、また言葉に出すのがなんだか怖かった。
「残念だけれど、現代医療では“不治の病”とされている難病です。完治はありません。
これから長い間、いろいろ大変なことがあるでしょう。入院が必要なことも、あるでしょう。
医療費に関しては、国からの補助が多少あります。以前はもっと大きく補助してもらえたんだけど、
小泉政権になった時に、変わっちまったんだよな」
最後の方は、独り言のように聞こえた。
「治療には、ステロイドという薬を使います。
いろいろな意味で、最強の薬。
君の今の痛みも、激変するでしょう」
ステロイド。
最強の薬。
この言葉と、私は後々、嫌になるほど付き合うことになるんだ。
飛行機に乗ってまで患者が訪ねてくるそのドクターの「仕事」は
本当に素晴らしく的確で、速かった。
あっという間に診断書を仕上げ、区役所での「難病申請手続き」に必要な資料を揃え、ちらりと腕時計を見て
「まだギリギリ間に合うから!今からその足で、区役所に行きなさい。
特定疾患の手続きは早ければ早いほうがいいから」
ドクターにとても感謝したが、その対応がどれだけ素晴らしかったかは、
数年後、入院生活に入り、他の患者の口から、発病時のドクターの対応をいろいろ教えてもらった時に、
改めて驚き感謝することになる。
病院からの帰り道、ひとりになった私は、
下を向いてシクシクと子供のように泣きながら歩いた。
Posted at 2010-11-04 20:23
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Posted at 2010-11-06 14:42
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Posted at 2010-11-04 20:32
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Posted at 2010-11-06 14:43
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