僕にはたくさんの糸が付いていた 家族から、友達から、近所から、学校から 引っ張られ演じているのが なんだかぎこちないようで嫌だって 自分らしく演じてみたいと思って糸を切ってみた すると僕は自由を手に入れるどころか 寂しくて全く動けないポンコツになった
始まってもいないのに 終わってしまっている顔をしている 俺たちエレベーターの鏡を覗けば 何処へ上がっているのか、と 不完全燃焼を感じているんだから 詰まらない男だと苦笑いしてしまう 何をするために生まれてきたのさ 要するに全く楽しんでいないじゃないか人生 それで終わってもいいのかい チャンスやラッキーが向こうから来るだろう なんて呑気にしているのは時間を忘れているからだ 有限なんだよ俺たちは 笑われることを気にして何も出来ないなんて 意味ないって話なんだよ 希望、夢、愛、平和を ダサいなんて思っている場合じゃない クズグズしているとすぐに終わってしまうぜ なあ、もうわかっているんだろう俺たち 何をするための生きているか、をだよ
白い液体が血管に流れる 身体にピリピリとした微弱の電気を 感じたあとに意識はなくなる 覚醒すれば開創された痛み 何事もなかったような術中の代償 しかし鎮痛剤を自己投与も出来る時代 ポンプのボタンを適宜自分で押せば和らぐ痛み 麻酔の進歩を有り難く思う
休日の朝方には 固まる精神、固まる身体 何を弱気なっているのか 平日の踏ん張りが緩み 自信も思いやりも昨日の夜に 消された重力を感じている この怖さはいったい何だろう 失うのは自己満足くらいなのに 無気力になっていく変化に 驚き浮き上がれない萎んだ風船 これで終わってしまってもいい そう思えるのは疲れなのか 諦めなのか、十分なのだろうか 薄明るいガラスの色は時計 出来ることなら時間が止まれば 不安を解消しないで済む 永遠のモラトリアムになり 包まっていられればそれでいい 今がずっと今であるように 次なる刺激は消えてなくなり 再び目を閉じてみれば そこは濃厚な自分らしさの卑屈
四面楚歌の中にもう僕はいない 世間が覗いているのはダミーなのさ その様子を監視カメラで見ている 訳わからず世間に攻撃される 僕には僕の欠陥が治せない だから生きるために違う自分を立てた だけどこの監視室もそろそろヤバい ……どうしたことだ ダミーが玄関から出てきやがった
朝は静かだから聞こえる 自分の息 ゴミを出すビニール袋の音 自転車のタイヤが擦れている音 枯葉が地面に落ちる音 クリヤーだから 風の声さえ聞こえてきそうな…… カラスの大きな鳴き声は遠くまで そんな朝に行ってきます
いつの日からだろう 私の頭の中で「萌え」という 言葉の意味がすり替えられていた 秋に葉の色が赤や黄になり 燃えているような、光っているような景色を その言葉の意味にしてしまった 今日、辞書で調べて急に恥ずかしくなる 「萌え」の意味がすり替えらてしまい 「秋葉原」になっていた
荷台に乗った ゴツゴツと響く想い出 摘み取られた野菜や果物と一緒に 風を切り空を見た夏の田舎 叔母さんの返事はいつも 「うんだにゃ〜」 猫語を話すんだと思っていた 幼かった自分 とても楽しかった田舎には もう誰もいない寂しさ ゴツゴツと想い出す空は ここと違っていた
僕は何をもって弱いのか なんて考えてしまう人間だったので いつだって自分の気持ちも 君の気持ちもわかっていなかった 僕は何をもって強いか なんて考えてしまう人間だったので いつだって自分の気持ちも 君の気持ちもわかっていなかった そんな僕が初めて知ったんだ ごめんなさいもさよならも言えないまま 君のカタチは無くなり初めて抉り出された涙 弱さを知ってしまった僕は 強く生きて行くことなど考えられなかった それでも心からありがとうを伝えたいと思っている