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- 中古カメラのコンディションを表す代表的な用語(備忘録)
中古カメラの商品のコンディション(程度・状態) を表す専門用語なるものがいくつか存在する。もともとは中古カメラの業者間で通じていた用語やカメラ店の値札などに書かれていたものが、専門用語として定着したようである。そのためだろうか、簡略化された言葉が多く、一見何のことか分かりにくいものも少なくない。
ここでは中古カメラのコンディションを表す代表的な用語をいくつかピックアップし、それぞれを解説していくことにしたい。
【アタリ/当り/小当り】
カメラのボディや交換レンズの鏡胴などに、本来はない凹みがあること。ほとんどの場合、ぶつけたり落としたりして何かに“当った”ことでできる。一眼レフの場合はペンタ部をはじめとするトップカバーに、交換レンズの場合は鏡胴先端などに「アタリ」が見受けられることがある。この場合、衝撃が加わったことで機能的に不具合が発生している可能性があるので、目視や動作確認のほか、カメラ店の販売員にも訊くようにしよう。
【バルサム切れ】
レンズ同士を貼り合わせている樹脂がくもったり、剥がれてしまう現象のこと。古くは“バルサム”といわれる天然樹脂を貼り合わせに用いていたため、「バルサム切れ」というようになった。比較的古いレンズで見受けられることが多いが、合成樹脂を使用するようになった現代のレンズでもしばしば発生する。バルサム切れは、重症となると写りにも大きく影響してしまう。修理はできないわけでもないが、手間がかかり費用も嵩むため、現実的でない場合が多い。「バル切れ」とか、単に「バルサム」という言い方もされる。
【液漏れ】
本来液漏れは、乾電池に過度の化学反応が起き、電解液が外に流れ出てしまうことをいう。この現象は、過放電、逆電流、長時間の通電のほか異種混用や新旧混用などで起きる。中古カメラの場合は、流れ出た電解液によってバッテリーボックス内の金属などが腐食していることを示す。長期間、電池を入れっぱなしで未使用だったカメラに発生することが多い。状態によっては問題ないこともあるが、腐食がすすんでいると通電しないばかりか、カメラ内部の機構に重大な影響を与えることも多い。カメラのほかモータードライブやストロボなどを購入する際は、必ずバッテリーボックスの状態もチェックするようにしよう。
【カビ/カビあと/カビ痕】
交換レンズでやっかいなのがカビ。夏場は高温多湿となる日本では、保存場所によってはあっという間にレンズにカビが生えてしまう。付着初期のカビであれば多くの場合、清掃でキレイに取れるが、コーティングまで浸食するようなカビだと、その痕が残ってしまう場合がほとんどなので、やっかいだ。 「カビ」はその名のとおりカビが生えている交換レンズを示すことが多く、「カビあと」、「カビ痕」などは、清掃したがカビの浸食でその痕が残ってしまっていることを示す。ちなみにカビの生えた交換レンズは、他の交換レンズとなるべく隔離して保管したほうが安全だ。
【コバ落ち/コバはげ】
レンズの端面(切り口)をコバといい、通常その部分は墨や黒い光学用塗料などが塗られ、鏡筒に組み込まれる。しかし、何らかの要因で墨が劣化し、円周状に白い輪っかや白いブツブツが現れることを「コバ落ち」あるいは「コバはげ」などという。コバ落ちは見た目にあまりいいものではないし、中古のレンズ市場では欠点として扱われる。しかし、筆者の経験値からいえば描写に大きく影響することは少ないように思える。そのためコバ落ちしている中古の交換レンズを安く手に入れるのもアリといえるだろう。
【クモリ】
一般にレンズが透明クリアでなく、曇っている状態のことをいう。極薄いクモリなら描写にさほど影響しないが、多くの場合、解像感やコントラストの低下などを招く。清掃しても取れないことがほとんどで、最終手段としては専門業者に依頼して、くもっているレンズを交換するか、研磨を行うしかない。どうしても欲しい交換レンズにクモリがある場合、可能ならば店頭で実写確認させてもらうとよいだろう。
【モルト】
ミラーボックス内や裏蓋を開けたときの上下の溝などに貼られている黒いスポンジのような素材をモルトプレーンと言い、遮光や緩衝材の役割をする。「モルト」とは、それを略した言葉。「モルト劣化」「モルト不良」などと記載されていることがある。一般にモルトプレーンは、経年劣化(加水分解)により溶けやすいが、カメラのモルトもそのように劣化し、やがて機能しなくなる。裏蓋部分のモルトプレーンの交換は、初心者でも比較的簡単に行えるので、カメラ店でモルトプレーン単体を購入して自力でトライしてみてはどうだろうか。
【スレ】
擦れたような浅い傷をいう。塗装が剥がれていることを指す場合もあり。写りに影響することが無い場合がほとんどである。真鍮製のカメラの場合、特にブラックボディはエッジにスレがあると金色の地金が現れ貫禄あるものとなる。一般に「スレ」の多いものは無いものにくらべ安くなるので、あえてスレのあるカメラを狙うのも悪くはないだろう。プラスティックボディのカメラの場合、長年の使用で本来とは異なるテカテカとした光沢感になることがあるが、それを「テカリ」ということも憶えておこう。テカリによって「貫禄」が出てこないのはプラスティックボディカメラの悲しい本質か。
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