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現代詩の小箱 北野丘ワールド

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再就職手当はもらえるか

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 派遣で事務仕事を始めたのは2年前ぐらいである。それまでは中国帰国者定着センターのアルバイトとして、いわゆる残留孤児で帰国した人を対象にした、日本語学習の通信教育の添削を自宅で10年ほどやっていた。しかし帰国者の高齢化で学習する人が激減。収入がお小遣い程度にしかならなくなったので辞めることにした。その後職を転々としたが今はウイルオブワークという派遣会社に登録して仕事をもらっている。
 せんだってもこの4月から9月末まで中小企業退職金共済機構というところで仕事していた。入札で請け負った仕事なので、期間継続はなかった。機構でそのまま続けるには落札した派遣会社に移籍することになる。8月ごろのウイルの面談でわたしは移籍しないといった。しかしその場合仕事が紹介できないリスクがあるといわれた。そのとき私のこころに芽生えたのは仕事を少しの間休みたいという悪魔のささやきだった。
 それというのも2年前から腎臓がんの摘出手術、リハビリ、就職、骨折、胆嚢炎手術、就職とつづいて、いささか疲れが出ていたのである。のんびりしたい。これが心の声だった。そして派遣会社からの書類のなかに辞めた理由に「期間満了 会社都合」という記述を目にした。まてよ派遣の契約期間満了でも会社都合とあるなら、1週間待機で失業保険がもらえるのではないかと思った。
 さっそくハローワークに確認したらそのとおりだった。やった~。これで安心して休めると思った。しかし、派遣会社から離職票が届いたのは1か月後のこと。ヤキモキしていたがやっと届き速攻でハローワークで手続きをした。
 そうして2か月ほどぶらぶらしていて、果たして次にちゃんと仕事につけるだろうかという不安にかられた。1回目の失業保険の振り込みを確認して11月20日に派遣会社に電話をした。すると、あっという間に紹介が来て時給、交通費支の条件が上がっていた。仕事はデータ入力。ちょっときついができるかどうかなのだが。時給につられて私はやりますと答えた。そうして12月からまた労働の日々となったのである。仕事につけない不安は解消したが、これなら来年1月からでもよかったかなと、ちらと思った。
 失業手当の支給日を残して早期に就職すると再就職手当がでると知っていた。しかし、受給者のしおりには雇用期間が1年を超えて雇用の継続の見込みがあることが条件となっている。わたしは派遣会社の担当に確認の電話をいれた。すると勤務状況が悪かったり、規模の縮小、派遣会社の変更などがない限り、原則3か月ごとの長期契約継続ですとの回答を得た。このとき私は世の制度というものを上手く利用できてると感じて嬉しかったものである。
 そうして昨日、派遣会社に就業の手続きにいったのである。誓約書や個人情報なんたらといった書類に署名捺印をポンポンと押した。その時、契約書に目を通したら雇用期間が1年で更新無しになっていたのだ。電話と話が違う。しかし何も言えず社会とはこういう現実なのだと思って帰ってきた。家に帰って受給者のしおりを見る、1年以下の契約はもらえないとある。みすみす貰えるものをまた焦りから失ってしまうのか。私は考えが甘いと落ち込んでいた。
 しかし今日になってもう一度確認しようと派遣会社の担当に電話した。そうしたならば、1年契約ではなく1か月の私の見間違いだったことが判明。よく見ろよだ。1か月はトライアル期間で、更新無しになっているのは、社会保険の加入は1月からなのだが、システム上有りにすると12月からになってしまうとのことだった。雇用期間は期間の定めなく長期継続で間違いなしだった。ピッと携帯を切った後、貰えると思うと生き返るここちがした。まとまった再就職手当に該当することになったのは嬉しい。
 しかし本当に貰えるのだろうか。私のことだ。どこかに落とし穴が待っている気がしてならない。
#北野丘日誌

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