ガキの頃から購読している「サイエンス」。 一連のコロナの情報は、非常に役に立つものが多い。 2021/03号 「COVID-19 重症化の謎」 ほとんどの患者は、自然免疫系が狙い通りに働きCOVID-19を無力化して排除する。 だが約5%の患者では、この反撃が計画通りに進まない「サイトカインストーム」のような状態に陥るのが、重症者の特徴だ。 高齢や持病が重症化リスクを高める事はよく知られているが、ウイルスは年齢によって振る舞いを変えるのではない。 人間の側に、重症化のトリガーを引いてしまう原因があるはずだ。 現在までに分かっている事: ①COVID-19は、適切なタイミングで精密に調整されるはずの自然免疫をかわす。 結果としてサイトカインが感染部位に集中し、感染した肺細胞周辺の組織も損傷する。 ②免疫細胞の中には、好中球という蜘蛛の巣のような網目状の線維を放出してウイルスをからめとるものがある。(好中球細胞外トラップ(NET)) 炎症が重度になるとこのNETが血栓となって肺細胞を傷つける。 ③T細胞は、最初の感染からしばらく遅れて感染部位に到達しウイルスと戦うが、COVID-19ではこのT細胞が消失する。 その理由は不明で研究が続いている。 リスクを高めている遺伝子変異: 重症化は軽症時の症状が強くなるのではない。 それまでとは違う免疫系の混乱が発生するのだ。 重症化した人では、8つの遺伝子に高い確率で変異が生じている。 判明した遺伝子は、いずれも免疫と炎症にかかわるものであることが判明している。 男性の死亡率は女性の1.5倍というのも、注目に値する。 (感染者数の割合は男女同じ) 現状: 重症化の本態が明らかになり、第1派の時と比べると第2波では、全ての年代で致死率が下がった。 補足: イスラエルの数値を見る限り、ワクチンの効果はあるようだ。