ギリシア人の物語(Ⅱ)・・・塩野七生著
May
9
塩野七生著「ギリシア人の物語Ⅱ」
去年、第一巻が発売されて以来約一年。
第二巻が発売された。
なかなか深い内容であり、
連休にじっくり読むにはふさわしい一冊だ。
第一巻では、民主性を高度に発展させた都市国家アテネが、
同じ都市国家のスパルタとともに、
当時の巨大帝国「ペルシア」の大軍を、
はるかに少数の軍隊で二度にわたって撃破した物語だった。
民主制の勝利を語る内容だった。
その後のアテネの命運が描かれているのですが、
まず高度に発展した民主性が徐々にむしばまれて、
強烈なポピュリズムが台頭する。
衆愚政治へと流れていき、
指導者がころころと変わっていく。
それによって当たり障りのない人物が残っていく。
そしてアテネ崩壊の鐘が打ち鳴らされる。
沈滞した雰囲気を一掃しようという民衆の戦争への熱狂。
作戦の崩壊と撤退を認めない民衆の怒り。
ついには戦線の崩壊と総力を挙げた軍隊の全滅。
そして行き着いた先が地中海の覇者としての地位からの転落。
すべてを失って施しを受けるがごとき民衆の生活。
これがアテネ崩壊の道筋だった。
ポピュリズムの怖さに警鐘を鳴らす一冊となっている。
なにやら現代に通じるものを感じた。
世界を見渡すとそんな空気が充満してきてるのではないか・・・。
Posted at 2017-05-10 04:58
People Who Wowed This Post
Posted at 2017-05-17 17:34
People Who Wowed This Post