神戸残像(150)閉店「菊水總本店」
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1868年(明治元年)に現在の湊川神社正門前に「お茶飲処・お饅頭屋」として創業した同社は、神戸土産の代名詞となった「瓦せんべい」で全国に名を馳せた老舗和菓子製造業者でしたが、近年では洋菓子の勢いに押され売上が伸び悩んだことで、2006年には「UCC上島珈琲」の子会社となり経営再建を目指していました。
ところが、景気低迷による消費減速の影響で売上はさらに落ち込み、業績回復が見込めないことから、これ以上の事業継続は困難との判断に至り神戸市内の4店舗を2010年1月中に閉店し解散していましたが、2カ月後の3月16日、元従業員ら4人による共同経営で営業を再開していました。
このたび、1965年に建設した工場兼店舗のビルが老朽化し、「建て替えも難しく、数年前から、そろそろ潮時かと考えていた」とのことで、事業承継の道も探りましたが、コロナ禍で探すのが難しく、「この店はこの場所にあってこそ」ということで残念ながら、154年の歴史に3月21日をもって幕を閉じています。