福島第一原発建屋内に流入する地下水をいかに止めるか。 汚染水問題において、仮設タンクから300トン流出しようとも、現実に発生している問題の一部分にすぎない。 福島第1原発敷地内には、背後の阿武隈山系から毎日1000トンもの地下水が到達している。 このうち、約400トンが原子炉建屋など汚染された環境に流れ込み、汚染水となるためにこれをくみ出している。 残り600トンのうち300トンは建屋周辺の汚染物質の影響で、汚染水となり海に向かって流れていると考えられる。 資源エネルギー庁の試算であるが、おそらくこれが毎日発生している最善のケースとしての現実だ。 さて、これを止めようとしているのが、今回の凍土遮水壁の建設である。 資料を見る限り、それほど荒唐無稽な計画でもなさそうだ。 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/130426/130426_02k.pdf#search='%E5%87%8D%E5%9C%9F%E9%81%AE%E6%B0%B4%E5%A3%81' 資料のP4のように、原子炉建屋を凍土で取り囲み、地下水からのバリアを形成しようというものだ。 P5を見ると地下の水を通しにくい地層(難透水層)を利用して、原子炉建屋の環境を地下水系から隔離できる事がわかる。 このアイディアに、難癖をつけようとするのは簡単で、僕自身も改良したいポイントはいくつかある。 人類がやった事のない事をやるのだ。 改善は道すがらできる事だろう。 (凍土を通過する水道管や下水管が凍結するとか、まあ色々な事が起こるだろう) 恐らくは山側から工事を始める事になる。 この方式であるのならば、工事期間中にも地下水の流入量が減り始める。 原子炉周辺の地下水位が下がり始めたタイミングでは、建屋内の高レベル汚染水を全てくみ出さなければ、地下環境に逆流させてしまう事があるので注意が必要だ。 工事が進むと、四方をくまなく取り囲み、原子炉周辺の地下は地下水系から遮断されドライな環境が手に入る事になる。 四方をバリアするという事は、逆に考えるとプールのようになったともいえる。 そこで問題になるのが、昨日記述した注入され続ける冷却水だ。 原子炉建屋内に地下水が流入し、その水が汚染されるという事は、原子炉及び原子炉建物の気密性が無いという事で、現在は水を注げば漏れ出す構造だという事だ。 注水による冷却はいずれかのタイミングで停止し、空冷化をしなければ、バリア内が水没する事となってしまう。 全ては同時進行が必要だが、空冷化に関してはまだ現実の議論に到達していない。 ところで、P5の図を見て、何かおかしいと感じる方はいないだろうか? どの図面もこうなっていて僕もびっくりしたのだが、原子炉建屋の一部は、海水面より低いらしい。 原発に関する日本の安全基準は、本当に「手ぬるい」。 再稼働だ? やめておけ。 もう一発やらかしたら、僕はもう考えるのをやめる。