腰の強い南西の風が吹く。 湾内から外に出れば、大きなうねりが押し寄せるに違いない。そもそも、選手全員が一同に顔を合わせたのは昨日のことだった。 昨日の午前中まで、選手の意識はばらばらだった。 提案した作戦を聞き流す者。 船の性能を理解していない者。 漕ぎ手の力は艇を前に押し出すのではなく、上下左右に揺さぶり、まるで帆に風を入れることを拒むようだった。 そこで、ミーティングを召集した。 このレースが選抜メンバーによるニヌハ2号の最後の戦いであること、艇の性能に関してやレースの目標に関して等、皆に意見を求めながらも、譲れない目標を再確認してもらった。 良い練習は良い結果を招く。 悪い練習は悪い結果を招く。 スタートまでわずか20時間。 初めて選手の意思が統一された。 本当の意味で息の合った練習は、この後の数時間だけだった。 しかし、その数時間は人生で稀に見る濃密な時間だったことを記憶している。スタート10分前。 向かって右側がポールポジション。 ニヌハ2は昨年の順位により、13番のスタート位置だ。 目標5位、少なくともシングル。 そのためには、選手に厳しいことも言う。 冷酷な決断もする。 その代わり、結果を出さなくてはいけない。 スキッパーを請け負った者だけが味わう、強烈な孤独感が押し寄せていた。
Posted at 2007-06-25 07:39
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Posted at 2007-06-26 05:30
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Posted at 2007-06-25 15:59
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Posted at 2007-06-26 05:32
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