このお正月休みで、
塩野七生著「ローマ人の物語」全15巻、
ついに読み終わった。
毎年一冊づつ出版されていたので、
十五年プラス一年をかけて読み終えた。
読み終えて今までいろいろ振り返ってみました。
毎年一冊も欠かさず読み続けさせた、
塩野七生の筆もすごいなと思いますが、
やはり読み続けられた一番大きな原因は、
この本があらゆる角度から、
多面的に見ることのできる本だったというところです。
20才のころ司馬遷の「史記」を読んで以来の面白さだったと思う。
その中でも第二巻の「ハンニバル戦記」は前半の山場であり、
出色の一冊だと思う。
話としいては有名な話ではありますが、
第二次ポエニ戦役でのハンニバルの活躍は、
活劇ものとして読んでも十分面白く、
また人間ウォッチングとして読んでも面白いですね。
ポエニ戦役とはカルタゴとローマの戦争ですが、
たった一人の天才的な将軍の出現で、
大ローマが壊滅の危機に瀕します。
有名なカンネの会戦で、
ハンニバルに対して全滅に近い敗北を喫したローマ。
兵士を集めることもままならなくなったローマ・・・。
ローマという一つの都市の城壁内に追い込まれたローマ人達の絶望。
しかし、あと一歩でローマ陥落のところで、
ハンニバルに本国カルタゴの援助はなかった・・・。
対陣16年、ついにローマからの撤退。
自分についてきた多くの将兵を残して撤退です。
ハンニバルを慕って船のへりにつかまる兵士の指を切り落としての撤退。
その胸のうちに去来する無念さ、
いかばかりかというところですね。
命拾いをしたローマ。
そしてローマに現われた若き将軍、
25歳の天才将軍スキピオにアフリカはザマの会戦で、
今度はハンニバルが徹底的に敗北します。
ついにローマを追い詰めた男ハンニバルの敗北です。
そのとき、逃げながらハンニバルの胸のうちに去来するものはなにか・・・。
その後の数度にわたる戦いでも、
ついに勝利はハンニバルの手には来なかった・・・。
しかし、その後のスキピオ、ハンニバルの運命は実に興味深いですねぇ・・・。
ハンニバルはローマにジリジリと追い詰められ、
ついにオリエント(たぶんシリア)の奥地の小国で服毒自殺。
ローマの英雄スキピオも、
その功績によってスキピオ・アフリカヌスと呼ばれましたが、
巨大な功績と名声をローマの政界から疎まれて、
孤立し罪をかぶせられ不遇に過ごすことになる・・・。
晩年は病弱となり弱った姿で足元もおぼつかず、
孤独死することとなる。
死んだ年がハンニバルの死と同じだったということも衝撃ですねぇ。
国家に裏切られた二人の英雄の生き様を読むだけでも興味深く、
戦記ものとしてもワクワクする躍動感に溢れた、
まさに出色の一冊だと思います。
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Posted at 2008-01-18 15:55
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Posted at 2008-01-19 16:04
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Posted at 2008-01-19 04:28
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Posted at 2008-01-20 15:41
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