窓の気密性能とはすきま風がどの位侵入するかを示すもので、室内外の気圧差をある設定値にした時のすきま風の量を示し、アメリカでは窓・ドア製造者協会(WDMA)の基準がある。この基準では室内外の気圧差を75パスカル(1気圧は101,325パスカルまたは101.3キロパスカル)とした時のすきま風の量が5.486 m3/m2-hr以下となっている。また日本ではJISのA-1、A-2、A-3、A-4基準があり、気圧差が75パスカルの条件ではそれぞれ750 m3/m2-hr、220 m3/m2-hr、60 m3/m2-hr、15 m3/m2-hrのすきま風に相当する。すなわち日本の最も厳しいA-4基準でもアメリカ基準の約3倍のすきま風を許容することになる。ちなみに75パスカルの風圧は風速に換算すると約11m/秒に相当し、気象庁の定義では木枯らしは風速8m/秒なのでやや強い木枯らしの条件と言える。
先にその9『結露』で示したように150㎡の平均的な住宅の居住空間を375㎥とすると、面積が6.25㎡のJIS A-3基準の窓があると1時間で室内の全空間に匹敵する量のすきま風が入ることになる。実際には窓の全面積はもっと大きいので、A-3基準の窓では隙間だらけということになる。日本製の窓やパティオドアは開け閉めがとても軽く操作が楽だが気密性が十分ではなく、これがアメリカに日本製の窓やパティオドアが輸出されない理由のひとつと思っている。反対にアメリカ製の窓の操作が重いという苦情をよく聞くが、これはアメリカ基準の気密性を達成するためにやむを得ない面もある。
窓の水密性能とは強風雨の際の室内への雨水の浸入を防ぐ性能を示すもので、試験方法は若干異なるもののアメリカのWDMAでは1時間に204ミリ、日本のJISでは240ミリの雨量における風速によって示す。なお、日米の水密テストにおける雨量がほぼ同じであることは、強風雨の際は降雨量については集中豪雨ほどの量には達しないという事実に基づいているためである。日米の基準と風速の関係を下記に示す。
JIS等級 風速 WDMA等級
W-1 12m/秒 R-15
W-2 16m/秒 R-25
W-3 20m/秒 R-35
W-4 24m/秒 R-50
W-5 28m/秒 R-70
一般的に市街地住宅用にはW-3、強風地域住宅用には環境によりW-4またはW-5 基準を満たす窓やパティオドアが望まれる。
1990年代に日本でアメリカからの輸入住宅がもてはやされた頃、十分な知識のない業者によりアメリカ西海岸の比較的温和な地域向けの窓が日本に多く輸入され、台風の時に雨水が室内に侵入してアメリカ製の窓やパティオドアは性能が劣ると大騒ぎしたことがあったが、住宅を建設する土地に必要な窓の等級を確認していればこのような問題は避けられただろう。しかしアメリカ製の窓やパティオドアは性能が劣ると喧伝されたことにより、その後日本への輸出が激減したことは高性能なアメリカの窓メーカーとしては心外なことである。
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