東日本大震災により住宅に甚大な被害を受けた人たちは、復旧のためには被害にあった住宅のローンと新たな住宅建築のためのローンによる2重債務で苦しんでいると言う。日本では金融機関から住宅ローンを受ける場合、信用保証会社が連帯保証し債務者は信用保証会社に対し返済の義務を負っているため、大震災で住宅の価値が大幅に低下した際には抵当である住宅を放棄しても返済義務は残る。日本の火災保険では地震や水害はカバーされないが、地震特約や水害特約があればある程度補償される。ただ地震特約は火災保険の50%以下、水害特約は30%以下程度のため、債務履行のためには不十分で、被害者には大きな債務が残る。
アメリカの住宅ローンについては州によって異なるがワシントン州の場合、住宅ローンがMortgageの場合は債務者(ホームオーナー)が抵当物件である住宅と土地の所有権を放棄すれば、債権者はそれ以上の債務を債務者に請求出来ない。他方ローンがDeed of Trustの場合は債権者は債務者に対して債務と抵当物件を売却した金額との差額を請求出来る。しかし債務不履行となった場合債務者には抵当物件以外にさしたる資産が無い場合が多いため、現実的には債権者が差額を負担することになり、ホームオーナーとしては住宅と土地を手放すだけで済むことになる。カリフォルニア州などいくつかの州では、住宅ローンについては如何なる場合でも抵当物件を放棄すればそれ以上の債務を負わない。アメリカでは住宅ローンを提供する金融機関は専門家であり、他方ホームオーナーは素人なので金融機関がローンのリスクを負うという概念だ。このためもしもワシントン州で大震災が発生した場合、多くのホームオーナーは2重債務の状況は避けることが出来るだろう。
東日本大震災のニュースを見て、日本でも専門家である金融機関や信用保証会社がリスクを負って、ホームオーナーが2重債務を負わなくても良いシステムを作るべきと思う。何事につけ日本では生産者やサービス提供者の立場によるシステムが構築されており、消費者庁が創設されてもまだまだ消費者が割を食うことが多いと思われる。
アメリカではホームローンを組む時、金融機関は抵当物件保全のため火災保険をホームオーナーに要求するが、わがやはシアトル活断層の上に建っており、またくまごろうが日本人だから地震に対して敏感なため、ホームローンでは要求されていない地震特約を付保している。地震特約は保険料が高く、また建物の基礎と土台の取付けがしっかりしていること、温水器が住宅の躯体に固定されていること、などを写真を提出して証明するなど手続きが面倒だが、地震の際には火災保険金額の85%まで補償するので、少しは枕を高くして寝ることが出来る。
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