オスプレイ
Sep
30
BellとBoeingの共同開発により生産されているオスプレイの歴史は意外と長く、1960年代からアメリカだけではなく日本でも使用されているBoeing Vertol CH 46/47大型輸送ヘリコプターの後継機として1989年には原型となるモデルが初飛行している。ヘリコプターと飛行機の両方の機能を併せ持つティルトローターのオスプレイはその後多くの技術開発が行われ、アメリカ軍の実戦に配備されたのは2007年であり、最初はイラク戦争、更に2009年からはアフガニスタンにも配備されている。これまでに160機が生産されており、2012年には最大年間48機を生産することになっている。
オスプレイは巡航速度446 Km/hr.、航続距離1,627 Km、標準的なペイロードは20,000 Lbs. (9,080 Kg)で、CH 47大型輸送ヘリコプターの巡航速度265 Km/hr.、航続距離612 Kmに比較して有事の際の機動性に優れている。軍事に限らず災害出動などにおいてもオスプレイの優れた機動性は威力を発揮することだろう。
オスプレイは実戦配備からまだ日が浅いため、既に半世紀以上にわたって使用されてきたCH 47大型輸送ヘリコプターに比較すれば経験不足の感は否めず、ティルトローターという難しい機種のために試作段階では2回の重大事故を起こしているが、改良を加えた量産機での事故率は10万時間あたりの平均事故率は1.93である。因みにCH 46E大型輸送ヘリコプターの平均事故率は1.11、CH 46/47の改良型であるCH-53D大型輸送ヘリコプターでは4.51、またアメリカ海兵隊所属の全航空機では2.45である。
オスプレイが沖縄基地に配備されると困るのは誰だろう。基地の撤去を求める沖縄県民には不満があると同情するが、これまで普天間基地に配備されている大型輸送ヘリコプターに比較すれば事故が格段に増える恐れはなく、また騒音もアメリカのデータによれば大型輸送ヘリコプターより低いといわれている。オスプレイの配備に最も懸念を持つのはオスプレイの航続距離の範囲内となる中国および北朝鮮である。民主党政権により亀裂の深まった日米の同盟関係を再構築するためにも、日本はアメリカが重視する東アジア戦略を支援しオスプレイの配備に協力すべきであろう。