オスプレイその2
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オスプレイV-22は50年以上前の1964年から運用されているアメリカのバートルCH-46中型輸送ヘリコプターの後継機として開発され、2005年から運用されている。オスプレイは推進器であるプロペラを離着陸時の上向きから巡航時の前向きに変更するティルトローター方式という高度な技術を採用しているため、1989年の初飛行以来、運用開始までに4回の重大事故を起こしているが、原因究明の上改良が加えられ、2005年末に運用が開始された。その後も何回か事故が発生しているが、その都度原因が究明され対策が施されている。少し古いデータではあるが防衛省発表の2003年10月より2012年4月までのデータによれば、オスプレイの事故率は103,520時間の飛行に対し2件で100,000時間あたり1.93であり、1960年代から配備されている輸送用ヘリコプターCH-46の事故率1.11には劣るものの、アメリカ海兵隊所属の全航空機の事故率2.45より低い。オスプレイによる死亡事故は運用開始前の1992年の事故で7名、2000年アリゾナでの事故で19名、2000年ノースカロライナでの事故で4名の30名に達したが、運用後は2010年アフガニスタンでの事故で4名、2012年モロッコでの事故で2名、2015年ハワイでの事故で2名の8名にとどまっている。
運用後のオスプレイ事故で指摘された問題点のひとつはホバリング時の地上の粉塵巻上げによる視界不良とエンジンへの粉塵侵入であるが、これらは従来のヘリコプターでも発生する垂直離着陸航空機の宿命でもある。この問題についてパイロットの証言では引退するバートルCH-46と比較してオスプレイの方がオートパイロット機能などにより着陸は容易とのことであり、またオスプレイのエンジンは粉塵防護のためのエアフィルターが強化され、問題が発生しにくくなっている。また運用上はハワイでの事故後、砂地離着陸時のホバリングをそれまでの60秒以内から30秒以内に短縮しエンジンへの悪影響を減少させている。因みに砂地離着陸でのホバリングは通常10秒以内である。
オスプレイは従来の輸送用ヘリコプターCH-46の約4倍である600Kmの行動半径を持ち、最大速力は約2倍の520Km/hr、輸送人員数や搭載可能貨物重量も2倍以上であり、緊急時の輸送や救助には大きな力を発揮するので、離島が多く、自然災害も多発する日本では有効な選択肢の一つである。自衛隊もオスプレイの運用上の利点を勘案し、平成30年までの中期防衛計画で17機のオスプレイ導入を決定している。マスメディアはオスプレイは危険だ、と国民をあおるような報道をするより、データに基づいてオスプレイの機能や実績を冷静に分析しその上で問題があれば提起すべきであろう。
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