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窓の話7『断熱性その1』

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歴史的に見ると日本の住宅は亜熱帯地域の住宅を原点としており、夏の蒸し暑い気候に対応することが基本で、外部からの通気を重視した構造となっていた。

現代の日本における快適な住宅としては寒い時期には暖房が、また暑い季節には冷房が必須となるが、折角暖冷房を行っても気密性や断熱性が低いと、住宅から屋外に熱が逃げて暖冷房の効果が期待出来ない。そのため省エネルギー住宅を目指した国土交通省は1999年の住宅品質確保促進諸法(通称は品確法)に住宅建材の断熱基準を定め、省エネルギー住宅の普及を促している。

住宅各部からの熱の放散を測るのに熱貫流率と呼ばれる尺度を使うが、これは室内外の温度差が摂氏1度の時、1 平方メートルの面積を貫流する熱量をワットの単位で示したものである。窓やドアの熱貫流率については北海道および東北北部3県では2.33、その他の東北と新潟、長野、栃木では3.49、沖縄を除く他の都府県では4.65、沖縄では6.51としている。この基準は寒冷地ではフランス、ドイツ、アメリカの中北部における基準と同等である。

窓の話4『ガラス』で既に述べたが、2003年の(財)建築環境・省エネルギー機構資料によれば、日本の在来型のモデル住宅では窓やガラス戸などの開口部からの冬の暖房中の熱損失は住宅全体の48%に達する。

従来広く使用されてきた1枚ガラスの窓では熱貫流率は約6ワットであるのに対し、ペアガラスの窓では約3 ワットまで低減する。すなわちペアガラスの窓を使用すれば、北海道および東北北部3県以外では省エネルギー住宅基準を満たす。窓の話6『ローイーガラス』で述べたように、ローイーコーティングを施したペアガラスでは、室内側からの輻射伝熱による熱貫流が大幅に削減されるため、熱貫流率は更に1.5ワット程度まで大幅に低減して北海道および東北北部3県の基準を満たし、断熱効果はきわめて高い。

なお、ここで述べている熱貫流率はガラスパネルそのものの数値であり、窓の中心部熱貫流率と呼ばれるものである。窓はガラスパネルをサッシュにはめ、このサッシュが窓枠に取付けられているため、窓全体の熱貫流率は窓枠の材質によって大きく変わる。熱を伝えにくい木製、塩化ビニル製、FRP製の窓では熱貫流率がガラスパネルそのものの数値よりやや低減する程度であるが、熱の良導体であるアルミ製の窓では窓全体の熱貫流率はガラスパネルの熱還流率よりも大きくなる。

参考までに言うと、品確法の省エネルギー住宅では外壁の熱貫流率については北海道および東北北部3県では0.35ワット、その他の地域では0.53ワットを基準値としており、ローイーコーティングを施したガラスパネルを使用したハイテク窓でも外壁の3倍以上の放熱があるため、断熱性だけの見地からは窓は少なく小さい方が良い住宅ということになる。しかしそれでは採光に問題を生じ、また外の美しい景色を楽しむことが出来なくなるので、断熱性のより高い高性能の窓を使って妥協することになる。
#PC #テクノロジー #ネット

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