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くまごろうのひとりごと

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中国企業の風力発電

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New York Times電子版では一昨日、昨日と2日連続で中国の風力発電に関する記事を掲載している。

2000年代初めにスペインの風力発電設備メーカーのGamesaは中国ではトップのシェアを誇り2005年には35%を供給していたが、中国政府は中国製部品の使用を入札の条件とし、その割合(ローカルコンテンツ)は2005年には70%に達した。その間Gamesaは中国に工場を建設し部品の生産を増やしていたが、製造技術は中国企業にコピーされ、またこれらの中国系企業は政府からの土地の無償提供、低利融資などを受けて競争力を増し、2009年には中国の3大風力発電企業は合計8.3ギガワットの設備を供給したのに対し、Gamesaはわずか0.5ギガワット、デンマークのVestasは0.6ギガワットの設備を供給したにとどまっている。

風力発電技術はラップトップコンピューター、ソーラーパネル、原子力発電、新幹線に関する技術などと同じように中国企業にコピーされ、中国政府から手厚い支援を受けたこれら企業は中国国内での事業にとどまらず海外に進出し、海外の競争相手を脅かすことになっている。

70%のローカルコンテンツはWTOに違反するが、2009年夏にオバマ政権が中国に申し入れたことによりこの条件は廃止となった。しかしその時Gamesaは既に95%の部品を中国国内で生産しており、この条件の廃止による実質的な影響は皆無であった。オバマ政権はこれにとどまらず、中国政府による土地の低価格・無償提供や低利融資もWTO違反として現在も追及している。カナダのオンタリオ州は中国に真似て風力発電に25%、太陽光発電に50%のローカルコンテンツを適用するつもりだが、中国に対しては何もしなかった日本政府はオンタリオ州についてはWTOに提訴している。

中国政府は既に43ギガワットに達した風力発電設備の新規建設を規制しているが、これは発電された電力の供給システムが追いついていないためと思われる。そのため世界に伍していける競争力を持った中国の風力発電企業は海外、とりわけアメリカ市場に照準を合わせている。アメリカでは既存の風力発電設備の総能力は41ギガワットであり、アメリカの電力需要の2%をまかなっている。

昨年末に中国の風力発電企業の1社であるGoldwindはアメリカの投資会社およびディベロッパーと組んで240-300基の風力発電設備をテキサス州に建設する15億ドルの計画を発表した。この開発計画には4.5億ドルがオバマ政権の再生可能エネルギー開発に関する連邦政府資金の対象となるが、このプロジェクトでは大部分の仕事が中国の労働者に与えられるのに対し、アメリカには建設と保守のわずかな仕事しかないことに批判がある。アメリカ政府の資金が関与する風力発電プロジェクトではアメリカ企業による発電設備の供給が有利ではあるが、それにしてもトップメーカーであるGeneral Electricでもその50%の部品は中国製品であるのが現実だ。

アメリカでは中国企業の風力発電用タービンが1メガワットあたり60万ドルであるのに対し、西側諸国で作られたものは中国製部品を使用したものでも80万ドルもしくはそれ以上である。そのため、中国企業の風力発電を支持する人々は中国政府の支援により廉価な設備が供給され、アメリカの電力会社や風力発電開発会社に貢献するので悪い話ではない、と主張する。

技術というものは独占出来ないものではあるものの、日本が中国に供給した新幹線技術を安値を武器にブラジルなどに積極的に売り込んでいる中国は、日本企業に限らず先進諸国の企業にとって脅威であろう。
#政治 #歴史 #環境 #社会 #経済

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kito
Commented by kito
Posted at 2010-12-23 02:31

中国は全てコピー商品ですね。
資源が有るのと労働者の賃金安いから日本の技術者引き抜いて性能の良い商品が作れるようになりました。
日本の技術者諸君も考えて国を守る為に行動してもらいたいと思いますね。
お金に弱い人間は目先のことしか考えないのでしょうかねぇ・・・。

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くまごろう
Commented by くまごろう
Posted at 2010-12-23 20:43

知的財産、人権、表現の自由などについて国際社会とは異なる中国、国民の7%にも満たない共産党が人民解放軍を含めすべてを支配する中国、共産党の1党独裁体制がいつまで続くか見ものです。いずれ破綻するでしょう。

日本の技術者や技能者が持っている能力を生かしてくれる働き場所を求めるのは、ローマ帝国やルネッサンスのヨーロッパ、ちょっと前までのアメリカなど、文明史を見れば明らかで、彼らを責めるのは酷だと思います。日本政府が彼らを温存するような政策を実行すべきだと私は思います。

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