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くまごろうのひとりごと

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窓の話9『結露』

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日本では、北海道や東北の北部、またはこの10年位の間に新築や改築した住宅でなければ窓ガラスは2重になっていないと思う。このような1枚ガラスの窓では寒い冬の日には室内側のガラス表面が結露して、まっ白なレースのカーテンにシミをつけたり、窓周辺の木製部材に黒かびを発生させたりして、住んでいる人を悩ませることになる。寒い冬の夜に鍋を囲んだりするとこの傾向は一層顕著になる。

このような窓ガラスの内側の結露はよく冷えたビールのジョッキの外側と同じで、冷えた物体の表面温度が周辺の水蒸気を含んだ空気の露点以下になると発生する。例えば室温が20℃で相対湿度が60%とすると、蒸気表によればこの湿った空気の露点は11℃であり、相対湿度が80%なら16℃となる。あまり風の強くない気象条件のもとで外の気温が0℃で室内温度が20℃の時、3ミリ厚みの1枚ガラスの窓では室内側ガラス表面温度は約5℃なので、相対湿度が40%でも結露する条件を十分に満たす。高性能なペアガラスでは同じ条件で室内側ガラス表面温度は約16℃となり、室内の相対湿度が80%近くまでは結露しない。

これまでの話はガラス中心についてであり、窓枠が熱を伝えやすいアルミの場合にはガラスは結露しなくても窓枠が結露する恐れが高い。このような問題を回避するためには断熱性の高い木製窓や塩ビ樹脂の窓枠を使えばよい。アルミサッシュでも屋外側と屋内側のアルミフレームを合成ゴムなどにより熱的に絶縁したサーマルブレイクと呼ばれる窓枠もあるが、断熱性は木製窓や塩ビ樹脂には及ばない。

気温が0℃の場合、相対湿度が100%であっても1 Kgのこの空気に含まれている水分は0.004 Kgであり、この空気を20℃まで暖房すると室内の相対湿度は30%まで低下する。そのため室内の空気がカラカラに乾燥していると感じ、人は加湿器を使ったりする。確かに乾燥し過ぎた空気は喉が痛く感じられたり、肌の潤いがなくなったりして快適とは言えない。しかし建物にとっては湿度の高い環境はカビが発生しやすく、壁の裏側にある断熱材が壁内結露する恐れもあり好ましくない。

ミネソタ大学における研究によれば、寒冷地における住宅での健康ならびに建物の保全の両者が妥協しうる室温20℃における相対湿度は、屋外の気温が‐29℃なら15-20%、‐18℃なら25-30%、‐7℃なら35-40%というデータを示している。このデータから類推すれば外気温が0℃の場合でも相対湿度は50%以下が好ましいであろうと推論出来る。

アメリカのある研究データによれば、シャワーを浴びると1回に付き0.24リットル、クッキングをすると1回に0.47リットル、人が呼吸すると1日に1.42リットル、植物の鉢植えは1日に0.47リットルの水分を発生する。4人家族で鉢植えが3本あるとすれば、1日に9-10リットルの水分を発生させていることになる。150m2の広さの住宅における居住空間を375m3とすると、もしも換気が一切なければこの家族の生活によって1日に発散される水分は0.018-0.020 Kg/Kg-Airとなり、20℃における相対湿度100%の水分保有量0.015 Kg/Kg-Airを超えることになる。実際にはシャワーを使う際やクッキングする時は換気扇を回すのが普通であり、また人の出入りがあるので、生活によって生ずる湿度はこれよりは少ないだろうが、気密性の高い住宅では20℃における相対湿度50%の状態は比較的容易に達成されるであろう。

2010年1月に放送されたNHKの『ためしてガッテン』では、人間は暑くも寒くもない環境では体の湿度センサーが鈍感であることを実験的に示している。この番組ではやたらと加湿器を使って建物をいじめるより、ドライマウスならのど飴、、ドライアイなら目薬、乾燥肌にはクリームによる保湿を勧めている。でもこんなことを言うと加湿器メーカーから営業妨害だと文句を言われるかもしれない。
#PC #テクノロジー #ネット

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KUMA
Commented by KUMA
Posted at 2011-01-12 14:53

私の場合でも、調理や石油暖房、風呂上りの発汗などで湿度は保たれていると感じています、実際に湿度計では冬季は60%程度は維持しています(室温は18℃以下)、やたら加湿器の使用は窓のみならずあちこちに結露の恐れがあり使用していません。

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くまごろう
Commented by くまごろう
Posted at 2011-01-13 00:05

以前のKUMAさんのブログルでも加湿器の要否についての話がありましたが、加湿器メーカーは正しい情報を提供すべきだと思います。

燃焼型の暖房器具、調理、入浴、それに洗濯物を室内で乾燥させたりすると、多くの場合、加湿器は必要なくなります。

アメリカでは厳寒のアラスカや中西部では気温が氷点下10℃はしょっちゅうで、そのような環境での室内湿度はとても低いですが、加湿器はそれほど普及していないと思います。このような土地では、カーペット敷きのホテルの廊下を歩いたりすると静電気がたまり、ドアノブに触れればもちろんですが、握手しても火花が散ります。

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KUMA
Commented by KUMA
Posted at 2011-01-13 00:18

Server室ならともかく、一般家庭では加湿要因がかなりありますね、室内での洗濯干し、避寒している観葉植物など、結構な水分を吐き出しいるようです、我が家も冬季の夜間の間はおでん鍋等を保温プレートに乗せますが、蒸発する水分が少なからずあります。

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くまごろう
Commented by くまごろう
Posted at 2011-01-13 01:15

今日の結露の話は窓のセールスの時の顧客説明なのですが、昨年1月のためしてガッテンではどのような話になるか、と思って番組を見たら、私の説明をサポートしていたので嬉しくなりました。

日本ではメーカーの宣伝が効き過ぎて国民的常識になることが時々ありますが、加湿器もそのひとつではないでしょうか。

それにしてもアメリカでは住宅の中での加湿源まで研究している人がいるのも驚きです。

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KUMA
Commented by KUMA
Posted at 2011-01-13 02:00

加湿源として寝室では布団がありますね。
日本の寝具は伝統的に冬は厚い布団となり、「布団干し」などで除湿をしますが、実際にはかなりの水分を含有していると思われます。
これらが室温の上昇で加湿源となっていると類推しておりますが・・・・

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くまごろう
Commented by くまごろう
Posted at 2011-01-13 02:27

確かに晴れた日の集合住宅の布団干しは日本では見慣れた風景ですね。

のどが痛いとか、肌が乾燥するという理由で加湿器を使ったらどのようなことになるやら、少し恐ろしい感じです。

日本では体に良いということで住宅に珪藻土の壁を使うことがあるとか。これもかなり水分を含んでいるのではないでしょうか。昔の家は隙間だらけだったから珪藻土を使っても良かったのでしょうが、高気密・高断熱住宅で使うとどうなるのでしょう。

また高層住宅などではコンクリートが多用されますが、コンクリートが完全に乾燥するには50年かかると聞いたことがあります。私は専門ではないのでよくわかりませんが、コンクリートも加湿源?

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KUMA
Commented by KUMA
Posted at 2011-01-13 03:19

コンクリートも加湿源ですね、最近は聞きませんが(断熱材の使用で)、壁紙が剥がれたり、押入れの中が結露するなどのトラブルがありました。
コンクリートは建造後数年は多量に水分を放出するようです。
加湿は感覚やなまじの計算ではなく、精度のある測定器で判断するのが結果として良いのではないかと思うこの頃です。
加湿源からの放出量は簡単に計量できないのですから・・・・

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くまごろう
Commented by くまごろう
Posted at 2011-01-13 07:38

ためしてガッテンでも言っているように、人間の感覚はかなりいい加減です。何事につけ科学的に状況を判断するには正確な測定が基本ですね。

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エメラルド
Commented by エメラルド
Posted at 2011-01-13 09:26

結露には、日本で悩まされました。
こちらでは、全くありません。
ペアガラスのおかげですね。
また建物全体を暖房しているので、家の中にいる限り温度差があまりないので助かります。
実家は典型的な日本家屋なので、廊下やバスルームが寒いので、帰るとよく風邪をひきます。

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くまごろう
Commented by くまごろう
Posted at 2011-01-13 19:07

住宅はもちろん、高層ビルでもアメリカ北部地域(ワシントン、オレゴンも含まれます。)ではペアガラスが建築基準法で義務付けられており、この点ではアメリカの方がエコですね。

ガスファーネスやエレクトリックファーネスによる集中暖房は合理的です。日本でも高気密・高断熱住宅では普及してほしいものです。

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