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窓の話11『快適な窓』

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アメリカでのある実験データによれば、外気温が氷点下12℃の時、1枚ガラスの窓では室内側のガラス表面温度は氷点下9℃であり、たとえ室内温度を21℃になるよう暖房を設定してあっても16℃に設定してあるように体に感じられる。窓ガラスは部屋の冷熱源となり、特に露出した腕や足がひやっとして不快に感ずる。これは輻射伝熱現象により温かい皮膚表面から冷たいガラスに熱が移動するためである。輻射伝熱は通常のカーテンやブラインドでは防ぐことが出来ない。

このような部屋で暖房の熱源が窓から遠いところに設置されていると、暖められた空気が天井付近に上昇した後、冷たい窓ガラスで冷却され床に下降して足元が冷えるという、不快なコールドドラフト現象を引き起こす。暖房熱源を冷たい窓ガラスの下部に設置して冷気が床に流れないようにするのはコールドドラフト現象を防止する方法のひとつである。

先の実験データによれば単なるペアガラスの窓の場合、前例と同じ条件では室内側ガラス表面温度は7℃となって1枚ガラスよりかなり改善され、室内設定温度が21℃だと体感室内温度は19℃となる。しかしこの場合でも窓に近づくとひんやりして快適ではなく、また暖房器具の置き方によってはコールドドラフト現象が発生する。

高性能なローイー(低輻射性)アルゴンガス封入ペアガラスの場合、同じ条件では室内側ガラス表面温度は20℃となり、室内設定温度が21℃では体感室内温度は20℃となる。また窓に近づいても不快感はない。

外気温が氷点下12℃というのは北海道でもない限り少し極端な条件だが、窓の話-その9『結露』で述べたように外気温が0℃の場合、1枚ガラスの窓の室内側ガラス表面温度は5℃程度なのでこれでは快適な窓とは程遠い。快適性という点でも高性能なローイー・アルゴンガス封入ペアガラスを選択する意義はある。

夏の強い日差しについてはどうであろうか。1枚ガラスの窓では室内側ガラス表面温度は38℃に、また単なるペアガラスの窓では室内側ガラス表面温度は32℃に達するが、高性能なローイー(低輻射性)アルゴンガス封入ペアガラスでは28℃程度である。、夏の窓を通しての熱移動はほとんどが太陽からの輻射伝熱によるものであり、室内側ガラス表面温度が上昇することと共に射し込む輻射熱によっても不快に感じる。アメリカ空調技術者協会(American Society of Heating, Refrigerating & Air Conditioning Engineers, ASHRAE)では、その基準55にて新陳代謝率、着衣の断熱性、温度、輻射熱、空気の流速、湿度などを勘案した居住者が快適に感ずる夏の環境条件を規定しているが、この基準によれば室内の空調を25℃に設定していても1枚ガラスの窓の部屋では68%の人が不快に感じる。また遮熱性の高くない単なるペアガラスの窓の部屋では56%の人が不快に感じペアガラスは遮熱にはあまり貢献しない。

これに対し遮熱を目的とした高性能なローイーアルゴン封入ペアガラスの窓を取付けた部屋ではわずかに15%の人が不快に感じるだけである。ここに述べたように、エコと言うことだけではなく快適性を得るためにも高性能なローイーアルゴン封入ペアガラスの窓は重要な役割を担っている。
#PC #テクノロジー #ネット

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