条例の遵守
Dec
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昨日、市のArborist(樹木専門家)がわが家のバックヤードに新たに植えた木を検査に来た。彼女は植えられた木については簡単に見ただけで承認してくれたが、Arboristとしての興味はむしろ切ったカナディアンメープルの切り口に寄せられていた。ひとつの株の切り口を見るとこれまでは健康な木だったようだが、表皮が内部に食い込んでいる部分があり、長期的にはこれが更に食い込んで幹の強度低下をきたし、またもうひとつの株では健康に見えた幹の内部にもかなり進行した腐食があり、今回切ったことは正しい判断だった、とのこと。このプロジェクトは少なからぬ出費ではあったが、嵐で木が倒れて建物に被害を及ぼすことを防ぐためには必要な経費であったことを納得する。
アメリカ全土がすべて同じかは知らないが、私の経験した範囲では、アメリカでは自治体の条例とそれを遵守させるシステムがうまく機能しているように感じられる。ある太さ以上の木を切る許可についても、面倒ではあるがそれにより景観や環境が保たれるためには悪いことではない。検査も連絡すればすぐ来てくれ、基準に合っていれば承認してくれる。これにより条例が遵守される仕組みだ。
住宅建築について言えば、アメリカの建築基準法も結構うるさいが、例えば基礎工事が終わればその段階で市の検査官が検査し、それに合格しないと次のフレーミングを行うことが出来ない。躯体の構造、水周り、電気、断熱なども各段階で検査官を呼んで、その都度合格しないと次の工事を行うことが出来ない。このようなやり方は、住宅が建築基準法に従って建築されていることを確認するためにはきわめて効果的であり、違法建築の余地が少ない。
日本のことは詳しくは知らないが、建築確認申請が許可されると、中間検査と完成検査位しか遂行されないのではないか。このような検査方式の不備が違法建築や手抜き工事を助長して、消費者に不利益を及ぼすことが起る原因となっているのかもしれない。