どれくらいの器に どれくらいの言葉の 景色と思いを詰めこみ 創ってゆこうかな 開けたら美味しそうで 食べてしまいたい 色彩豊かな日曜日の ランチを楽しめるような ひと時を仕込みながら サービス精神が 小さな愛に変わるくらい 大好きを詰めこみ 君は微笑みながら 心が言葉を食するように 満足させたいなあ
「無理」と言って 君は反射的にその場を避け ああ無理、無理 これも無理、あれも無理 それはもっと無理 無理、無理、絶対に無理 個室だけを世界にして 無理と言って布団を被り 今日が始まり今日が終わって 無理が家中に響き 不安が籠り 暗く重たくなってしまうけれど 悔しさに拳を握り ひとを傷つけてしまったと 自分も傷つくやさしさ 心は自分と闘い けして逃げているだけではない 君を知っている 押し込んだ感情の言葉から 発信された小さな信号を 今は見逃さないように 私たちは君を無理と言って 諦めやしない 君をずっと待っている
なんたって 僕が 歩くのは 向かっても 逃げても 最初から 曖昧で 足が 進み 今さら 後悔とか 納得とか もう それくらいで いいか 僕の後ろも 前も いつも 草むらで どこから どこへを 知らず 楽しんで
落ちる連続 削る飛沫の音を斜めに 僕は横になり ひつ粒ふた粒と 顔に落ちるのを楽しみ 動けないでいます 昔の心配な匂いの記憶 癒されているような後悔が ほんのりと包み もういいのです 精一杯だった僕は冷たく アスファルトに沈み 納得の直線 銀いろの元をたどりながら 浮き上がっています 箱をおいて さよならの雲が視界を遮り 垂れた生暖かさに 幸福を重ねています そろそろですね 僕が僕でなくなる時は わかっています 肩を叩かれたのですから 初めてほんとうの ありがとうが言えそうです それでは ありがとうございました
検討はついていた 診断を聞かされ つい笑ってしまった 自分では前向きに、と 行き着くところの 挑戦の表れだったんだ 笑うところではない と、叱られたのだが 医師の感情に 合わせろ、とでもいうのか せめて 何かおかしいですか? とか、訊いて欲しかった 先生、俺は生きたいんだよ
熱風で汗がふきだし 僕らの地球は 誰の世界なんだろう ぶあ ぶあ ぶあ ぶあ ぶあ ぶああ ちょっとばかり お利口だからって ぶあ ぶああ 時間をつめこんで 僕らは笑われ 池が草木が揺れている ぶあ ぶあ ぶあ ぶあ ぶあ ぶああ 不自然な僕らは お日さまに怒られて ぶあ ぶああ
無矛盾の詩には 無矛盾の矛盾がある あなたらしい表現の 99%は矛盾なのだから 無矛盾の詩には 無矛盾の矛盾がある 無矛盾の詩には 99%の矛盾があり 無矛盾の詩になる 1パーセントの勘違いと 99%の矛盾で 無矛盾の詩になる
浴衣の君と夏祭りデート そんな現実はない ひとりリンゴ飴を 歯でカツンカツンとしてたら 割り箸が折れて転がった たまたまそれを君に見られ ダサっ と、馬鹿されても 浴衣の君に言われ喜んでいる 俺のジャージは穴だらけ
例年の花火が鳴っている ずいぶんと疲れているようだ 身体が動こうとしない 布団から出られないでいる 近い将来、遠い将来 不安と希望がごちゃ混ぜになり 重たい気分をどうにかしたいのだが 優っているのは怠惰なのだ それでも空腹には耐えられず 冷蔵庫に向かったが これといって満たす物がない 気だるい身体はコンビニへ向かわせる 花火の音は大きくなる そして広がってゆく光 今年も花火を見た 大袈裟だが今年の夏も なんとか生きていると響いた
ぼくはリレーの せんしゅだった ひとりきょうしつで まっていなさい せんせいにいわれた なんだかさみしくなった おしっこがでた ぼくはすずきくんの たいそうずぼんをかりて はしった いちばんで バトンをわたしたよ ぼくはビニールにはいった パンツをもってかえった