たいしたことのないポジション そこで忙しそうに芝居 なんのための時間の浪費なんだろう 表情の歪んだ芝居をして 俺はこの身体でなにを得るのだろう 疑問が充実へと誘導しても そこがどこだかも分からず また芝居をしてしまう悲しみ 逃げているのではなく生きていく順応 なら…… の先を迂回、往復、戻され 自分という無駄から得ている安心に落ち着く 時間に染める色はぼやけてすぐに消える でも俺、それっ、望んでいるんだろ
くっ付けた星は輝きませんが…… 希望に満ちて爽やかな感じではなく どちらかといえば僕は何を考えているのか わかってもらえない人間のようです そんな僕も星をあっちこっちにくっ付け いろいろと注釈が出来るので どうにか頑張っていられるわけです この星はとっても役に立って みなさんに「君はそう考えていたのか」と 僕のことを理解してもらえるのだから 厳しいといわれる社会にも ぎりぎりセーフで順応できるわけです ただし自分からどんどん話をして 僕らしいところに星をくっ付けながら きちんとみなさんに考えを伝えるようにします ちっぽけなでかっこ悪い生き方かもしれませんが 曖昧さには輝かない星をくっ付けながら これから先も僕は進んで行くのです
緑から黒未満にある潤い 抜けて軽くなり時に比例して萌えてゆく 乾くほどに定めを欲しがる人間 色を濃くしながら生き様の示めす葉脈 何処に執着するか 挟み込んだページに潔く身を委ね 此処を見よと潰されながらも 手を振るように印す
どこからだろう 憩いの香りがしてくる その時間をくれないか その一杯の静けさをくれないか それで今日も戦えるのだから どこからだろう 憩いの香りがしてくる 落ち着きを求め 目は細め鼻は膨らみ 香りの元へ足は進んで行く
とある電気屋でPCを買おうとした。欲しい機種は、とある通販より五千円高かった。店員にその旨を伝えると「こちらから五千円分どうぞ」とカタログを渡される。と、いうわけで一週間後に牛肉が届いた。ああ、美味しい、美味しい。PCにはやはり牛肉が付き物でしょう。(実話・詩でない?)
98NOTEというPCでワープロを使っていた ハードディスクもなかったから ソフトのフロッピーを四、五枚入れ メモリ拡張にEMSを使い立ち上がるまで十分ほど ワープロにこだわったのは印刷でき冊子が作れたからだ ホッチキスで束ねた一冊だけの詩集 明朝体の文字が輝いて見えたのを今でも覚えている
雨が降っている、って いいじゃない、僕は踊るよ 葉っぱが雫で揺れるように 足を軽くあげて ヘイ、ヘイ、ヘイ こんな風に 君もやってみればいいさ いいね、いいね 君の方が上手だよ、敵わない ねえ、紅茶でも飲もうよ いいよ、いいよ、僕が淹れるさ ほら、いい香りだろ ああ、聞こえてくるね 雨の音に包まれて とっても平和な雨やどりさ なんか幸せだね 今日はこうやって ずっと、ずっと、ずっと もうこれ以上は何もいらない 君と僕と雨と紅茶
生まれて死ぬまで 誰かと比べられてしまうのか 自分からも比べてしまい 優劣で安心したり、不安になったり どこかで見切りをつけなければ 思いとは遠いところで つまらない自分をあきらめず 残された時間でのエネルギーを せこせこと費やして終わってしまう まだ遅くはないか 媚びずに詩を書いてゆけるだろうか 自分を開放するために 比べない世界におろおろせず 左右、後ろを見ずに進めるだろうか いや、出来る出来ないと考えるようでは すでに止まっている 決めてしまえ 今まで生きてきた結果を表現せず お前には何があるというんだ 信じろ、信じろ、信じてしまえ もうわかっているんだろ、なあ自分よ
ドアを開け、座りシートベルトをして、 キーを入れ、ブレーキを踏み込み、 キーを回し、ギアをドライブに入れ、 ハンドブレーキを解除、 ブレーキを解除 ウインカーをつけ、左右確認、 アクセルを踏む 歩行者、自転車に注意 ああ、渋滞 ガソリンもめちゃ高い 歩き、電車にしよう
女優の樹木希林さんが人生の幕をおろされた。とっても残念です。個性的で魅力のある存在には、圧倒させられましたね。そして、たくさんの名言を発していました。表現をしようとする者にとって教わることは多いです。女優として演じるために望ましいあり方を示した言葉もあります。こちらの言葉は俳優ではなく、詩人に置き換えても説得があります。詩で表現することは、自分の燃やした魂で感動させることではなく読者の魂を鎮めることにある、と。私も詩に感動はいらないと思っていたので、とても共感してしまいます。感動するような詩はすぐに消えてしまい、心根には響いていないのではないか、そう思っていました。岡本太郎の「一体これはなんなんだ!」のような言葉にも類似しているかもしれません。ただ、この境地にたどり着くには、生涯を掛けて詩を書かなくては行けません。私には無理だと思っていますが、もしかしたらといった心は忘れずに精進していきたいものです。ユーモアもある樹木希林さん、憧れ、理想ですね。 樹木希林さんのご冥福をお祈りいたします。 Zingaro(騎馬オペラ) 虚飾もなく 観客に媚びず 威張らず もの凄いサーカスを あたりまえの感じで演じてしまう そこに動く俳優たちが馬たちが 何かを観せるのではなく その燃やした炎で 見物人の魂を鎮めてしまう 美によって神に到達する道が もっとも望ましい ばるたばすはその道を 心こめてあるきつづけている 樹木希林 (ジンガロのパンフレットに寄せた言葉