Jul
20,
2021
落語に学ぶ「リーダーシップ」(第五話)
落語に学ぶリーダーシップ。今日のテーマは
「パートナーシップ」
企業やビジネスにおけるパートナーシップというと、ビジネスパートナー、例えば取引先や協業している業者などを思い浮かべるかと思います。
社内や職場に目を移せば、プロジェクトを一緒に取り組んでいるメンバーや上司・部下など、パートナーシップは結果を出すための組織としては非常に大切な視点ですね。
一方、家族や家庭にまつわるパートナーシップというと、いかがでしょうか?
そうです!
あなたの隣には、人生において非常に大切な存在である「ライフパートナー」がいるはずです。
今日は具体的な落語の演目を採り上げて、パートナーシップについて考えて行きたいと思います。
採り上げる演目は、つと有名な
「芝浜」
落語の演目の中でもトップ10にランクインするほどの有名で、かつ、素敵なストーリーです。いわゆる人情話に分類されるもので、夫婦愛を描いた演目です。
落語のストーリーを文字で記述するのは、いささか憚られるのと、余りに有名過ぎて今更の感が否めません。
しかしご存知ない方のために、敢えてあらすじを記しておきます。「サゲ」まで書いてしまうと、落語を聞く楽しみが半減してしまうかも知れませんが、どうかご容赦ください。
1.演目「芝浜」のあらすじ
- 魚屋の勝五郎(魚勝)は腕はいいが大酒のみで働かない。ある時女房に説き伏せられ、魚河岸に出かけた魚勝は大金の入った財布を拾う。
- 遊んで暮らせると大喜びした魚勝は大酒を飲んで寝てしまう。翌朝、女房に起こされたが女房は財布のことなど知らない様子。
- 「お金を拾った夢を見て喜ぶなんて情けない」と女房に泣きながら訴えられた魚勝は改心し、酒をピタッとやめて一生懸命に働くようになる。
- それから3年後の大晦日、魚勝は小さな店を持つまでになっていた。除夜の鐘を聞きながら女房が奥から財布を取り出し、魚勝がそれを開けてみると大金があった。
- 「お前さん、3年前のあの話、あれ夢じゃなかったの」。女房はそう述懐する。「てめえ、騙していたのか!?」激高する魚勝に、女房は涙ながらに訴える。
(中略)
- 「お前があんな芝居を打ってくれなかったら、今頃、俺は罪人になっていたはずだ。ありがとよ!」と女房に礼を言う魚勝。
- 「お前さん、お酒飲もうよ。もう大丈夫だよ、飲もうよ」「そうかい、お前がそう言うなら」
- 3年ぶりに酒に口を近づける魚勝。しかしそこで思い留まる。
「よそう。また夢になるといけねえ」
こんなあらすじです。
この落語は、年末に話される日本の風物詩のような演目で「落語界のベートーベン第九交響曲合唱付き」というイメージです。なぜなら、この演目が大晦日という設定だからです。
2.浮かび上がる「リーダーシップ」
ではこの「芝浜」から、どのようなリーダーシップが浮かび上がってくるのでしょうか?
(1)パートナーとしての冷静な行動とリスク回避
大金を拾ってしまったことで、なおさら働くなくなると予想される夫へ、女房としてどう対応するか?
演目の中で、この女房の行動が語られるのですが、夫が財布を拾ってきた晩、女房は大家さんに相談をしています。
酔って寝てしまった夫をたたき起こして、いきなり説得するのではなく、まずは冷静に行動、信頼できる人へ相談へ行ったのです。そこで大家さんが授けてくれた助言は、
「拾ったお金を使わせたら罪人。奉行所へ届けよ」
働き者ではないが、最愛の夫を罪人にするわけにはいかない。
そう考えたのでしょう。鼾をかいて寝ている?夫の寝顔を見ながら(これは私の想像です、念のため)色々考えを巡らしたものと想像されます。
(2)パートナーを信じて、機転を利かせた戦略の実行
働き者とは言えない夫に、どのようにしたら拾ってきたお金を使わせないことが出来るか? ここで女房は
「一世一代の大嘘をつく決心」
をします。腕は良いのに、生来の怠け癖がたまに傷の夫。そこを何とか改心して欲しい。真面目に働けば大成するはず。そう夫の才能を信じて、嘘をつく決心をした女房。
落語の他の演目の中にも、甲斐性の無い夫と、しっかり者の出来た女房の夫婦のパターンは多いです。
そしてその中でも、この魚勝の女房は素晴らしい。正直言って出来すぎ、という感じもします笑
人を信じることの難しさ、そして
信じることで選択できることがある。
しかし信ずるためには日頃の言動をよく観察すること。そして
最悪のシナリオを想定しておき、リスクを計算して戦略を検討する。
私はこの「芝浜」の中に、パートナーを信じて協業する中で、発揮されるべきリーダーシップがあるように感じます。
いかがでしょうか?
ではまた明日!
by 「働くあなたを元気にする」コーチ
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