“2015梅雨期・囈AZUSAI”《襍感 ・/・拈華微笑23》

ガクアジサイ(シーボルト「日本植物誌」ーーより)
シーボルト表記;v.1, p.104 Hydrangea azisai Sieb.
現在学名;Hydrangea macrophylla
(Thunb. ex Murray) Ser. f. normalis (E. H. Wils.) Hara

梅雨??・・・もう明けた・・・って思う天候。ひたすら“暑い”
自宅に居れる時間が少し戻ってきた。

梅雨の華・自生紫陽花を今年はついに拜することができなかった。
世に園芸種紫陽花が、百花繚乱の如く植裁され咲き誇っている。
鎌倉のある寺は、ヤマアジサイ園芸種の宝庫とも呼ばれているが!!
紫陽花を寺境内に植裁した鎌倉の寺は、北鎌倉「明月院」が最初だろう。
園芸種の多くは、自生地で発見された変わりものに品種名をつけたもが多い。
牧野富太郎博士によって「ヒメアジサイ」と名付けられた個体の挿し木増殖、
それの代表的な植裁場所が、高知の牧野植物園、鎌倉名月院、千葉本土寺である。
アジサイは、その性質によっていくつかの分類にわけられている。
さらに分類の下に沢山の園芸品種が存在。
ガク咲きをガクアジサイ、テマリ咲きの品種を西洋アジサイなど言うは、誤解の基である。
以下ほどに種類がある。画像を添付したいところだが、手持ち不足。
総てを網羅できない。雑多な一覧だけで恐縮だが知り得ているだけ表記。

アジサイの分類 アジサイ(ハイドランジア)、Hydrangeaceae (アジサイ科)
学名;Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. var. macrophylla
以前、両親は、鉢植えで120品種以上のヤマアジサイを育てていた。
それらは、総て仲間の方々に遺品としてお引き受け頂けた。
今年は、紫陽花行脚ができなかった事もあって、文面だけで羅列してみたい。
見てくださった方の参考になればと思うが、、、!?!


日本のアジサイ;
1. ガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. normalis
基本種のガクアジサイは伊豆諸島、三浦半島の海岸、伊豆半島西岸に分布。両性花、装飾花とも青。
a. アジサイ(ホンアジサイ) Hydrangea macrophylla f. macrophylla
ガクアジサイの両性花がほとんど装飾花になったもの。テマリ型
b. セイヨウアジサイ(ハイドランジャ) Hydrangea macrophylla f. hortensia
日本から渡った様々なアジサイをヨーロッパで改良したもの。園芸種多数。
c. 石化八重アジサイ Hydrangea macrophylla f. domotoi
日本の古品種。茎が帯状になる帯化で花は塊のような八重花。「十二単衣」
d. ウズアジサイ Hydrangea macrophylla f. concavosepala
日本の古品種。ガク片がまるまってカップ状にへこんだ形をしている。「うずの舞」
e. フイリガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. variegate
江戸時代からある葉に白の斑が入るガク。黄斑も出る。花より葉を観賞。
f. 黒軸アジサイ Hydrangea macrophylla f. mandschurica
若枝が全て紫黒色になる古品種。花はテマリで青かピンク。
g. ヒメアジサイ(ロゼア) Hydrangea macrophylla f. amoena
ホンアジサイと違い葉に光沢が無く、質も薄い、寒さに弱く乾燥にも弱い。
h. マリエシイ(モモイロアジサイ)  Hydrangea macrophylla f. mariesii
里帰り古品種。イギリスの園芸家、チャールズ・マリーズが1879に持ち帰った。
装飾花の多い中間型のガクでセイヨウアジサイの元になった。

2. ヤマアジサイ Hydrangea serrata
落葉性低木。本州の関東地方(福島県)以西の太平洋岸、四国、九州に分布。
多くの変異が発見され園芸品種になっている。
a. ベニガク Hydrangea serrata f. rosalba(japonica)
ひし状円形の装飾花の縁に鋸歯を生じ、白から紅色に染まる。
b. シチダンカ Hydrangea serrata f. prolifera(stella)
シーボルトが紹介した幻の花、六甲山で再発見されたが同じ花か疑問も。装飾花が八重になる。
c. マイコ Hydrangea serrata f. belladonna
両性花が全て装飾花になりテマリ状になる。
d. キヨスミサワ Hydrangea serrata f. pulchella
千葉県清澄山で発見された。装飾花のガク片は紅の色に縁取られる。
e. コアマチャ Hydrangea serrata var. thunbergii
ヤマアジサイの中で特別に葉に甘味を持っているものを言い外見の違いは無い。
f. オオアマチャ Hydrangea serrata var. oamacha
アマチャの中で茎が太く大きくなるものをこう呼ぶ。長野県信濃町で栽培されている。
g. アマギアマチャ Hydrangea serrata var. amagiana
天城山自生のもの。葉が非常に細く鮮やかな緑色をしている。
h. エゾアジサイ Hydrangea serrata var. megacarpa(subsp. Yezoenis) 亜種
裏日本地帯から北海道南部にかけて雪国の主として山地に分布する。
従来、エゾアジサイはガクアジサイかヤマアジサイの北方型といわれてきた。
最近の遺伝子分析ではヤマアジサイよりもガクアジサイのほうに近いことが分かってきた。
その場合はHydrangea macrophylla f. megacarpaとなる。ヤマアジサイに比べて葉が大きく花も大きい。
i. ニワアジサイ(ユキアジサイ) Hydrangea serrata f. cuspidate
長野県野尻あたりから新潟県・山形県にかけて豪雪地帯で栽培されている。
エゾアジサイから生まれた園芸品種か。大変美しいが雪国以外での栽培は難しい。
j. ヒュウガアジサイ Hydrangea serrata var. minamitanii
宮崎県五ヶ瀬から鹿児島県境鰐塚山あたりに分布、ヤマアジサイの変種。
水がしたたる斜面を好む。ヤマアジサイとの違いは葉柄や葉裏全面に毛がないことと、枝が下垂すること。 
花色は淡いピンクからピンクへと変化する。 絶滅危惧IB類(EN)、南谷忠志氏が研究発表。
k. ナンゴクヤマアジサイ Hydrangea serrata var. australis
宮崎県、鹿児島県に分布。ヤマアジサイの変種。ヤマアジサイより葉が大きい。
この地域はヤマアジサイ、ヒュウガアジサイ、ナンゴクアジサイが混在する。

3. コアジサイ Hydrangea hirta
関東以西の本州、四国、九州に分布。落葉性の低木。青い両性花のみをつける。

4. タマアジサイ Hydrangea involucrate
福島県から岐阜県にかけて、伊豆諸島、四国、九州(トカラ列島)の湿潤な林縁に分布。
関東ではヤマアジサイと同所的に分布する。蕾は苞にに包まれ球形。
開花期は7月~9月とアジサイ類では最も遅い。
a. テマリタマアジサイ Hydrangea involucrate f. steilis
丹沢で発見、タマアジサイのテマリ型。
b. コ コノエタマアジサイ Hydrangea involucrate f. plenissima
箱根二子山で発見。両性花が無く、全て八重化して複雑華麗になっている。
c. ギョクダンカ Hydrangea involucrate f. hortensis
タマアジサイの八重化品、ガク片は円形。
d. ヨウラクタマアジサイ Hydrangea involucrate var multiplex
伊豆の大島で発見、甲府付近でも見つかっている。八重の無性花が幾重にも重なっている。
e. ヤエノギョクダンカ Hydrangea involucrate cv. Hortensis
装飾花と両性花が八重になる園芸種
f. シロバナタマアジサイ Hydrangea involucrate f. leucantha
装飾花、両性花ともに純白
g. ラセイタタマアジサイ Hydrangea involucrate var. idzuensis
伊豆七島などの大型で葉が厚く毛深い品種
h. トカラタマアジサイ Hydrangea involucrate var. takaraensis
鹿児島県トカラ諸島に自生(絶滅危惧種)

5. ツルアジサイ(ゴトウヅル) Hydrangea petiolaris
日本全国、南千島、サハリン、朝鮮南部の湿潤な森林内に分布。落葉性、つる性の木本。
気根を持ち樹上や岩上を這い上がる。
ガク片の発達した装飾花を持つ。両性花、装飾花のガク片は白。

6. ヤハズアジサイ Hydrangea sikokiana
葉の先端がヤハズ(矢筈)状に切れ込みがある。紀州から四国、九州にかけて分布する。
花序はガクブチ型でガク片の色は白。

7. ガクウツギ(コンテリギ) Hydrangea scandens
関東地方西南部から四国、九州に分布。ただし伊豆半島と中国地方には分布しない。
落葉性低木。ガク片の発達した白色の装飾花を持つ。強い香りがある。

8. コガクウツギ Hydrangea luteo-venosa
本州の伊豆半島、近畿、中国地方、四国、九州に分布。落葉性の小低木。
ガク片の発達した、白い装飾花のある花をつける。
強い香りがある。園芸種に八重テマリの「花笠」。

9. ノリウツギ Hydrangea paniculata
日本全国、南千島、サハリン、中国、台湾の林縁地に分布。
装飾花のガク片が紅色に着色する固体がある。
名前の由来は幹の内皮に含まれる粘液を和紙を漉くときの糊料に用いたことによる。
園芸種は矮性の「ダルマウツギ」、全て装飾花になった「ミナヅキ」などがある。
a. ミナズキ Hydrangea paniculata f. grandiflora
ノリウツギの両性花が全部装飾花になったもの。
b. ヒダカノリウツギ Hydrangea paniculata f. debilis
ノリウツギの装飾花の無いもの。北海道に稀産する。
c. エゾノリウツギ Hydrangea paniculata var. praecox
北方産ノリウツギで早咲き、普通のあじさいと一緒に咲く。
d. ビロードノリウツギ Hydrangea paniculata var. velutina
愛知県産、葉の両面に毛が密生する。
e. ベニノリノキ Hydrangea paniculata f. rosea
装飾花が紅色

10. リュウキュウコンテリギ Hydrangea liukiuensis 絶滅危惧種Ⅱ類
沖縄本島に分布。両性花のみのコンテリギ。

11. ヤクシマコンテリギ(ヤクシマアジサイ) Hydrangea grosseserrata
屋久島、トカラ列島、徳之島に分布。葉は細く鋸歯荒い。

12. ヤエヤマコンテリギ(シマコンテリギ) Hydrangea yayeyamamensis
八重山列島に分布。葉は厚く常緑。

13. トカラコンテリギ(トカラアジサイ) Hydrangea kamagoeana
屋久島、トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖縄、台湾、中国に分布。

但し、野生にはコガクウツギとヤマアジサイの自然雑種や変種などが存在する。

学名の読み方;
「f. Forma 品種 var. Varietas 変種 cv. 園芸品種 subsp 亜種」

自然交雑種
コアジサイ×コガクウツギ アマギコアジサイ
ヤマアジサイ×コガクウツギ 五家荘ヤマアジサイ、伊予の五月雨、瀬戸の月

アジサイ属の近縁種
1. バイカアマチャ (バイカアマチャ属) Platycrater arguta
静岡以西~九州、暖地の山地に見られる落葉低木、花に特徴がある。

2. クサアジサイ (クサアジサイ属) Cardiandra alternifolia
本州(宮城県以南)、四国、九州に分布、多年草でアジサイに似た花をつける。
a. アマミクサアジサイ Cardiandra amamiohsimemsis
奄美大島、西表島、台湾、中国に分布、絶滅危惧種ⅠA類
b. オオクサアジサイ Cardiandra moellendorffii
西表島、中国南部、台湾に分布。
c. オオバナノクサガク Cardiandra alternifolia f. mirabilis
d. ハナクサアジサイ Cardiandra alternifolia f. Formosa
e. ミヤマクサアジサイ Cardiandra alternifolia var. oppositifolia

3. イワガラミ (イワガラミ属) Schizophragma hydrangeoides
北海道、本州、四国、九州の山地、落葉つる性木本 、白い1弁の装飾花を持つ。

4. シマユキカズラ (シマユキカズラ属) Pilecostegia vibrumoides
  奄美大島以南と和歌山県本宮町

5. ギンバイソウ (ギンバイソウ属) Deinannihe bifida
関東以西から九州山地の谷沿い。葉の先端が2裂

※分類体系はエングラーによる。※
1988年のクロンキストの分類体系では草本の属をユキノシタ科、
木本の属をアジサイ科(Hydrangeaceae)。

世界のアジサイ

◇タマアジサイ亜節
1. アスペラ Hydrangea aspera 中国、ヒマラヤ タマアジサイ類、花は白

2. カワカミー Hydrangea aspera 'kawakamii' 台湾 タマアジサイの近縁種

3. ロブスタ Hydrangea aspera 'robusta' ヒマラヤ、シッキム、ブータン

4. サルゲンティアナ Hydrangea sargentiana 中国 
アスペラの近縁種、葉が大きく枝に剛毛が生えている。

5. ウィローサ Hydrangea villosa 中国 
アスペラの近縁種、両性花は紫、ガク片は薄青紫

6. ストリゴーザ Hydrangea strigosa 中国、ヒマラヤ 
アスペラの別名?秋咲き種説

7. グラブリペス Hydrangea glabripes 中国 アスペラの近縁種

8. ロンギペス Hydrangea strigosa 中国 
アスペラの近縁種、葉柄が長く、花は桃褐色、ガク型

◇ノリウツギ亜節
1. ブレッチナイダリー Hydrangea bretchneideri 中国 ノリウツギ近縁種、白、ガク型

◇ツルアジサイ亜節
1. タイワンツルアジサイ Hydrangea anomala 台湾、中国南部、ヒマラヤ東部

◇アジサイ亜節
1. 台湾トキワアジサイ Hydrangea chinensis
台湾 アジサイ類 長葉コンテリギ同一?、常緑の小低木、両性化・装飾花ともに白

2. サンスクク Hydrangea serrata var. sp. 済州島、南朝鮮 ヤマアジサイ近縁種

◇アメリカナ亜節
1. アルボレスケンズ(アメリカノリノキ) Hydrangea arborescens 北米 ノリウツギ類
  a.アナベル Hydrangea arborescens cv Annabelle 純白、葉は小さい、テマリ型

2. カシワバアジサイ Hydrangea quercifolia北米 ノリウツギ類、切れ込みのある大型の葉
a. スノークィーン Hydrangea quercifolia cv snow-queen 装飾花の多いもの。
b. ハーモニー Hydrangea quercifolia cv harmony 花が全て装飾花になったもの。

3. ラデイアータ Hydrangea radiate北米 ノリウツギ類、花は白、ガク型


以上の参考資料

*グリーンブックス53 アジサイ 山本武臣著 ニュー・サイエンス社
*日本のアジサイ 日本アジサイ属園芸図鑑 山本武臣解説 一関観光協会
*園芸豆図鑑特集号 あじさい 相模原市みどりの協会
*NHK趣味の園芸 ハイドランジア紫陽花 花岡喜重 NHK出版


「襍囈」

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zakkahさんお久しぶりです。関東地方は連日の猛暑に加え、台風11号の接近で大雨の予報、何ごともないことを念じています。

あじさい博士に脱帽。今日アップしたくまごろうのあじさいに関するブログが恥ずかしい!
Posted at 2015-07-14 17:49

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こんにちは、くまごろう先生。

バタバタと各地を巡っておりましたが、天候不安は日本各地で見られます。
自宅に戻って、今日は、突然の激しい雨、と思ったら、陽が射してみたり。。。台風の影響でしょうか??

今年は、自生(野生種)のあじさいを見ることができず、来年は幾種類の紫陽花と出会えるか??などと夢見て、ただ単に紫陽花名を羅列して。。。ブログを見てくださった方には、単に疲れられただけで!?!

今、日本国内は色々と大変です。
法哲理を真摯に、現実と対比できない。
学問と現実のはざまが、混沌としています。
Posted at 2015-07-15 23:57

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こちらから安全保障法制の議論を見ているととても奇異に感じます。くまごろうには共産主義革命を標榜する共産党やその亜流の社民党はともかくとして、他の野党の議論は戦後70年間の平和ボケとしか思えません。

こちらでNHKのニュースを見ていると沖縄、広島、長崎が反戦を掲げ、若い親たちが自分の子供達を戦地に送りたくない、と主張していますが、今回も政府や与党は戦争したいわけではなく、警察や消防が市民を守っているから平和な市民生活が可能であるのと同様に、国民が平和な生活を送れるようにするために軍隊(くまごろうは自衛隊は軍隊であると考えます。)が必要なのは世界の常識です。自衛隊は災害出動のためにあるのではないことを国民は認識すべきと思っています。

日本のマスメディアは己の利益のみ追求し、戦前は軍部の片棒を担いで戦争をあおり、戦後はことあるごとに政府にたてついているように思えます。くまごろうも恥ずかしながら国会デモに参加した60年日米安保改定、最近では国家機密法、世論の反対が多くても先見の明がある政治家は日本のために尽していると思います。
Posted at 2015-07-17 18:02

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今日は、くまごろう先生。

コメントありがとう存じます。
個人的に国外感覚で「日本」を見ています。
コメントを拝し同感・思う所あり雑文を別稿してみたく思います。
Posted at 2015-07-19 00:50

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