《 雅羅・/・襍感〝定点観察草本〟❖ ’24-344 ❖ 》

泉の森・キャンプ場前広場202... 泉の森・キャンプ場前広場2024/12/08  “摩耶蘭”

マヤラン(摩耶蘭) ラン科(Orchidaceae)
学名:Cymbidium macrorhizon (C.nipponicum)

泉の森でつぶさに而してじっくりと観察している“マヤラン”。
マヤラン(摩耶蘭)を泉の森で初めて見てから30年余。
初見(親の案内)した後、10数年もの間ご無沙汰。
再訪した時、初見時より少し増えていたと記憶している。

マヤランの名は、最初の発見地である神戸市の摩耶山にちなむ。
常緑広葉樹林下に生える多年生の地生ランで、花茎高10-30cm。
シュンラン属だが、緑葉も根ももたない菌従属栄養植物。
だが花期後、花茎や果皮に葉緑素が増えて光合成を行う。
環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)。
不思議なことに、身近な里緑地に自生・出現している。
泉の森に見えるマヤランは、7月頃に開花。
そして一度地上部が枯れ、9月に再び花茎を伸ばし開花する。
根茎は白色、多肉で長く地中で繰り返し分枝し鱗片がある。
根茎の先端から花茎を直立し、2-6個の花をまばらにつけ、
花茎下部に長さ1-1.5cmで基部が短い鞘が見られる。
膜質の鱗片葉が数個あるが、普通では葉はない。
花は乳白の地に紅紫色の模様が入る。
苞は膜質で長さ0.5-1cmの広披針形で鋭くとがり、
萼片は長さ2cm、幅3-4mmの倒披針形でとがる。
側花弁は萼片より少し短い狭長楕円形。
唇弁は長さ約1.5cmの長楕円形で蕊柱の基部につく。
僅かに3裂し中央裂片は3角形で外に巻き縁は細波状で先は尖る。
距は発達せず蕊柱は約1cmで半円錐状、先端に2室の葯がある。
果実は長楕円形の蒴果。
泉の森・配水池内 2024/1... 泉の森・配水池内 2024/12/08  “摩耶蘭”

摩耶蘭概要を思い出し、今年の摩耶蘭の生育状態に変化を見た。
7月に咲いた後、10月下旬に2回目の開花を確認した。
それが、12月に入っても咲き続けている1茎が居る(12/8)。
気温の高低等々を思うが、驚きを以て観察している。
泉の森、数か所の生育地其々でしっかりと生育しているが、
群生している場所では、北東方面に広がりをみせていた。
今年は、更に外側に1茎(新茎?)を'24/12/8に確認した。
ここ泉の森は、摩耶蘭にとって良好な生育環境なのかもしれない。
害敵の小昆虫は知られているが、それを捕食する昆虫。
自然界の摂理、食物連鎖・循環がしっかり行われてる環境。
而して人的被害も少ない。それが泉の森の環境だ。
摩耶蘭の開花個体の発生期間は2~3年程度で、
3年は毎年、開花・結実するが、
開花期間が終わるとその個体は消えてしまう。
かような生活周期・生活史があると専門家の言がある。
してみると、消えてしまった環境、増え続けている土壌、
それらの土壌環境・生育茎の場所移動が、サイクルと理解できる。
更には、人の補助・環境整備も必要、と慎重に対処しないといけない。
肝に命じ、心して微力だが・・・植物と向き合いたい。

**  神奈川県植物誌  **... **  神奈川県植物誌  **
A061 ラン科 ORCHIDACEAE
(科の解説と属への検索表:久江信雄,『神植誌 01』:秋山守・佐宗 盈)
地生,着生,岩生,菌従属栄養性の多年草.
茎は単軸性(単茎性)または仮軸性(複茎性)で長い茎があるか,
根茎または肥大した偽球茎がある.
葉は多くは偏平で,基部に筒状の鞘があり,
ときに鱗片状に退化する.
花は左右相称,苞があり,穂状・総状花序,
稀に単生するものもある.
萼片と花弁は各 3 枚が基本であるが,
側萼片が合着している種もある.
萼片 3 枚はほぼ同形.
側花弁 2 枚は同形であるが,中央の 1 枚は唇弁と呼び,
形,大きさ,色彩が顕著で,その基部にときに距がある.
多くは雄しべと雌しべが合着してずい柱を形成し,
先端の上面に葯,下面に柱頭がある.
一般に柱頭の一部は変形して小嘴体をつくる.
葯は通常 2 室,葯の中には蝋質性または粉質性の花粉の集合体
である花粉塊が 2~8 個あり,基部は普通粘着体に着いている.
果実は多くは蒴果で 3 裂し,種子はきわめて微細である.
全世界に広く分布し,世界に約 860 属 26,000 種,
日本に約 86 属 320 種が知られている.
県内には 43 属 93 種の記録があり,42 属 86 種が現存する.
・  ・
37.シュンラン属 Cymbidium Sw.
(中島稔,『神植誌 01』:秋山守・佐宗盈,図:秋山守)
地上生または着生.
根茎の地上部は通常偽球茎となり,根は一般に太いひも状で四方にのびる.
葉は線形~狭長楕円形で左右に叢生し,
一部は緑葉がなく菌従属栄養性が進化している.
また,緑葉がある種でも共生菌への依存度が高い事が判明している.
花茎は偽球茎基部から生じ,基部または上部に少数の鱗片葉をつける.
花はやや大きく 1 個または数個を総状につけ,苞は短い.
萼片と側花弁は離生し,開出または斜開する.
唇弁はずい柱基部につき 3 裂し,側裂片は幅広くずい柱を抱き,
中裂片は分裂せず基部から中央部まで 2 隆起線がある.
ずい柱は長く半円錐状.花粉塊は 2 個.
東アジア,マレーシア,インド,オーストラリアに約 55 種
が知られ,日本には 10 種が分布し,県内には 4 種が自生する.
A.緑葉があり,根は太くて長い
B.葉は線形で柄がない.花は花茎に 1 個つける
(1)シュンラン
B.葉は狭長楕円形で柄がある.花は花茎に数個つける
(2)ナギラン
A.緑葉と根がない
B.花色は紫色を帯びる
(3)マヤラン
B.花色は乳白色(4)サガミラン
(4)サガミラン Cymbidium nipponicum (Franch. & Sav.) Rolfe;
Bletia nipponica Franch. & Sav.
マヤランに比べて花茎と鞘状葉が緑色,苞が 3 角形,
長さ 4.5~6mm と短く,花も小型などの相違いがある
(柳川ほか 1981 神自資 (2): 47-54).関東地方に分布.
日本固有種.マヤランと同じような生育環境に生える.
『神RDB06』では絶滅危惧Ⅱ類とされた.
『神植誌 01』では,マヤランの白花品として
C. macrorhizon form. aberrans (Finet)Hid.Takah. & Ohba としたが,
その後の分子系統解析の結果独立種となった.
また,本種には複数の学名が存在したが,
古い時代に発表されていた基準標本が確認され,
表記学名となった.
なお,C. macrorhizon form. aberrans の基礎異名
Yoania aberrans Finet もサガミランではなく,
マヤランであることが明らかになっている
(Inoue FJ Ⅳ b: 304).

*     *     *
共生菌との暮らしを見せる不思議な植物。
人間の所作・生活を遥かに超えた高みに見える植物たち。
眼を楽しませてくれる彼等に返礼の如くに共生したい。
マヤランに関する詳細紹介を以前、ブログルに記した。
参考に。
 
「令和陸年(皇紀2684年)12月9日」
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