新型コロナウイルスによる死者数が20日、世界で1万人を超えています。中国湖北省武漢市で発生したウイルスは全世界に広がり、欧州やイランを中心に猛威を振るっています。19日にはイタリアでの死者が中国を上回ったほか、水際対策を取ってきた米国でも感染者が2日で倍以上に増え1万4千人を超えました。各国とも医療体制の整備を急ぎますが、感染者の急増に対応は後手に回っています。
米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計では、イタリアの死者は日本時間の正午時点で3405人と、中国の3252人を上回っています。イランが1284人で3番目に多く、スペインが833人と続いています。感染者のうち死亡した人の割合を示す致死率では、中国の4%に対してイタリアは8%に達し、世界保健機関(WHO)の世界全体の推定値(3.4%)を大きく上回っている数値です。
新型コロナは高齢者や基礎疾患がある人が重症化しやすいことがこれまでの調査で分析されています。(WHO)では「イタリアの高齢化社会が一因」と分析しています。欧州連合(EU)によりますと、同国の人口に占める65歳以上の割合(2018年時点)は22.6%と、EU加盟国では最も高い割合となっています。
医療態勢の不足も大きい要因です。イタリアでは財政健全化に向け医療関連の予算を削ってきました。同国では過去5年間で、病院など約760の医療機関が閉鎖されたほか、医師や看護師も足りていないのが現状のようです。
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