『あしたの少女』@<チョン・ジュリ>監督
May
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『あしたの少女』は、<ペ・ドゥナ>主演の映画『私の少女』で長編監督デビューを飾った<チョン・ジュリ>の8年ぶりの新作となります。2022年に韓国映画としては初めてカンヌ国際映画祭 批評家週間の閉幕作品に選ばれ、第23回東京フィルメックスでは審査員特別賞に輝いています。そのほか多くの国際映画祭で受賞している作品です。
物語の舞台は現代の韓国。ダンスが好きな明るい高校生「ソヒ」は、担任から紹介された大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社で実習生として働き始めますが、劣悪な環境や指導役の自殺に神経をすり減らしていき、ある日、凍てつく貯水池で遺体となって発見されます。刑事の「ユジン」は彼女を自死に追いやった会社の労働環境を調べ、いくつもの根深い問題をはらんだ真実に迫っていきます。
『あしたの少女』は2017年に韓国で起きた事件をモチーフに、2部構成で描かれています。「ソヒ」がコールセンターで働く前半のパートは物語のベースになった事件が忠実に再現され、英題の「Next Sohee(次のソヒ)」が示す通り、「ソヒ」のような犠牲者を二度と生み出すべきではないという願いを込めて作られています。
「ユジン」が登場する後半は<チョン・ジュリ>の創作で、韓国の労働問題を追及してきたジャーナリストらに触発され、「ユジン」のキャラクターを構築しています。なお、<チョン・ジュリ>は、当初から<ペ・ドゥナ>の起用を想定して脚本を書いたといいます。
<ペ・ドゥナ>が事件の真相究明に執念を燃やす「ユジン」、<キム・シウン>が「ソヒ」を演じています。<チョン・フェリン>、<カン・ヒョンオ>、<パク・ウヨン>、<チョン・スハ>、<シム・ヒソプ>、<チェ・ヒジン>がキャストに名を連ねています。