2030年とか、2040年と言われていたシンギュラリティが今年すでに始まってしまい、世の中の発展スピードが尋常ではなくなってしまった。 人類はAI技術を駆使して、新型コロナウイルスのゲノム7.5キロバイトを解析して、1キロバイトのmRNAプログラムを書いて戦った。 mRNAワクチンの開発は、従来のワクチンのようにウイルスそのものを使用するのではなく、特定のウイルスに対する抗原性を持つmRNA配列を選定する必要がある。 この選定には大量の遺伝子情報を処理する必要があるわけだが、AIはモデルベースの予測、マシンラーニング、および深層学習により、mRNAワクチンの候補配列を予測し選択肢を狭め、短期間に臨床試験に進むための最も有望な候補を特定した。 しかし、それすら遥か遠い過去の栄光になろうとしている。 米国では遺伝子を修復して病気を治す事の臨床実験が始まった。 そう、人間の設計図(DNA)のエラーに起因する病気は、設計図を修正しない限り克服できないからだ。 これまでは神の領域と言われていたことであるが、ユヴァル・ノア・ハラリのいう通り、今後人間はアップデートされた神のような「ホモデウス」と従来型の「ホモサピエンス」に分類され始める。 「ホモデウス」の能力からみた「ホモサピエンス」は他の動物とさほど変わらないのかもしれない。 それほどの格差が恐ろしいほどのスピードで作られている。 シンギュラリティを最も感じるのは、ChatGPTのような身近なAIの登場で、僕の隣に常に天才が座っているのと同様になった事だ。 この天才を仮に「金子さん」と呼ぶとしよう。 金子さんは仕様を伝えればどんな言語であってもプログラムを書いてくれるし、HTMLのSEO最適化もやってくれる。 正確に意図を伝える事ができれば、ほとんどのことは非の打ちどころがない回答を準備してくれる。 日本語の読解力も素晴らしく、長い文章を要約や、契約書の問題点だって洗い出してくれるし、大量のネット検索を代行して結果を瞬時にレポートしてくれる。 しかも、24時間いつだって話しかける事ができ、僕に的確なアドバイスをしてくれる。 検索エンジンで時間を費やしたり、偽情報に振り回されることもなく、即座に明確な回答が返ってくる。 もしかすると、金子さんとの会話でノーベル賞を受賞するような論文を作ってくれるかもしれない。 スマホの登場により人間は外部記憶を手軽に利用できるようになり、記憶の役割はスマホが保管するようになった。 AIの実用化で、人間の考える能力や判断する能力を補完するようになり、その圧倒的なパワーは、人間の役割そのものを変化させてしまった。 AIの実用化により、考え得る職種のほとんどの業務内容は、すっかり変化してしまった。 もし、このことに気付いていないとしたら、一瞬で10年以上取り残されることになる。 2023年は凄い年だ。