「イツァーク・パールマン」演奏会記
Oct
21
イツァーク・パールマンのコンサートが、
六本木サントリーホールで開催された。
午後6:30開演にもかかわらず、
すでに外にはかなりの人が開場を待っていた。
開場前にこれだけお人が集まってくるということ見ると、
パールマンの人気のほどがうかがえる。
開場に時刻を知らせるチャイムが鳴ると、
入り口に向かって長い行列ができた、
当日販売というのはほとんどないはずだから、
たんに入場のために行列ができているいうことだ。
ヴァイオリン界最後の巨匠と、
言われてるだけのことはあるということだろう。
サントリーホールの中に入ると、
外が暗くなっていたこともあり、
中のライトがかなり明るく感じた。
時間があればコーヒーを一杯飲んでからということもできる。
そういう少しゆったりしようという人の行列が少しできていた。
販売カウンターがちょっと狭い・・・。
この少しの行列に並ぶのもちょっとストレスだなと感じて、
もらったプログラムを片手にホールの中に入った。
サントリーホールはさすがに広い・・・!!
舞台の上にはパイプオルガンがあり、
その下も客席になっている。
前から20列目でちょっと遠さを感じる列数だ。
しかし、座席の位置はかなり真ん中寄りで、
演奏者はよく見通せる。
表情までは見えないが、
聴く位置としてはベストじゃないかと思う。
プログラムの解説に一通り目を通し、
オールに入る前にもらったコンサートのチラシの束を、
一枚づつじっくり眺める。
しかし、これだけの数のコンサートが東京で開かれることに驚く・・・!!
とにかくチラシだけで3センチくらいの厚みがある。
片手で持つと結構重い・・・。
コンサート不況とも言われている昨今、
これだけのコンサートに聴衆を動員するというのは、
実態はどうなのかわからないがすごいことだ。
ちょっとびっくりしながら舞台を見ていると、
予鈴のチャイムが鳴り響いた・・・。
いよいよパールマンが舞台に出てくる時間だ。
客席のライトが落ちて舞台にパールマンが現れた。
両足が不自由のため車いすでの登場だ。
電動車いすなのだが結構なスピードだ。
少し遅れて伴奏者のロハン・デ・シルヴァが続いた。
楽譜を譜面台においての演奏だ。
二人の譜面の準備が整ったところで、
パールマンの合図の首が振られた。
モーツァルトの「ヴァイオリンソナタ第32番 ヘ長調」
この曲はモーツァルトらしく明るい色調と、
ちょっとおどけた感じもある曲だ。
出だしはこちらの耳もまだ慣れてないせいか少し音が遠く感じた。
しかし、パールマン独特の息の長い柔らかな歌い方とてもいい。
なんか懐かしさを感じた。
CDで聴いている雰囲気が、
ダイレクトに耳にととどいたせいかもしれない。
ソフトな歌いまわしと透明感があってのびやかな高音。
まず一曲目からしびれた。
二曲目はベートーヴェンの「クロイツェルソナタ」
ヴァイオリンソナタの中の傑作中の傑作だ。
ドラマチックな内容を持っていて、
聴き手を熱くするものがある。
早いパッセージの切れとじっくり歌わせる対比が素晴らしく、
なかなか聞きごたえのある名演だと思う。
この曲と聞いていて感じたのは、
ものすごい速さのパッセージにもかかわらず、
なんかゆっくりした感じに聞こえてくる。
だからと言ってピアノとずれるということは全くない。
目を閉じて音に集中して聴いてみると、
ピアノは忙しく音が並んで出てくる感じだが、
ヴァイオリンの音はなんだかゆったりして聞こえてくる。
しかし、ずれることはまったくない・・・。
音と音の間隔がしっかる感じられる。
これは超絶技巧の持ち主のなせる業と言えるのかもしれない。
それにしても伴奏者のシルヴァのうまさも驚嘆するほどだ。
単純に伴奏しているというところにとどまらず、
出るところではメインヴァイオリンをもしのぐ音量で主張し、
引くところでは聞こえるか聞こえないくらいの音まで下がる。
ピアノはスタンウェイだと思うが、
ものすごくきれいな音で濁りがまったくない。
高音の粒も素晴らしく揃っていて、
このピアノの伴奏を聴くだけでもかなり価値があると思えた。
この「クロイツェルソナタ」が終了して、
ものすごい拍手が巻き起こった。
なかなか鳴りやまず、
一度舞台そでに引っ込んだのだが、
もう一度舞台に出てきて拍手にこたえていた。
パールマンがそでに引っ込むと会場が明るくなり、
ここで20分の休憩が入った。
さすがに集中していたせいかコーヒーが飲みたくなり、
ホールの外に出て、
今度は販売カウンターにつながる列に並んだ。
コーヒージュースなど販売のウェイトレスの手際がいいのもなかなかだ。
こういうちょっとしたところで感興がそがれることがある。
さすがサントリーホールだとは思った。
皆さん整然と表情が壊れることもなく、
次々グラスを持って小さい丸いテーブルに歩いていく・・・。
コーヒーを飲みながら回りをゆったり眺めるのもなかなかいい。
この雰囲気にのまれていることが、
コンサートを聴きに来る一つの楽しみでもあるわけだ。
前半の曲のイメージに残った部分をなんとなく反復している。
この休憩時間のゆったりした気分で後半を聴くわけだ。
後半開演の5分ほど前に席について演奏者の登場を待つ・・・。
会場のライトが落ちてパールマンが電動車いすで登場。
後半一曲目は、ちょっと珍し曲で三人の作曲家の共作だ。
第一楽章がディートリッヒ、
第二、第四楽章がシューマン、
第三楽章 スケルツォがブラームスだ。
ブラームスらしいハ短調の雰囲気だ。
作曲者本人は自由に楽しくといっていたようだが、
エネルギッシュな感じではあるが、
楽しくというにはちょっと重いか・・・。
それほど長くもなくちょうどいい感じだ。
後半になると耳が慣れてきたせいもあり、
楽器も鳴ってきたせいもありか、
ヴァイオリンの音もかなり耳元まで迫ってきた。
コンサートに来ていつも不思議な感じのする状況だ。
ここまで来ると会場全体がノッてくる感じだ。
曲が終わるとすごい拍手。
まとまった曲としては最後になる、
シューマン作曲の「ヴァイオリンとピアノの幻想小曲集」
タイトルからしてロマン派という感じのこの曲。
ますますパールマンの音の美しさが強調された感じだ。
ヴァイオリンとピアノが絡んでいく感じが実にいい。
お互いが前に出たり引っ込んだりしながら曲を進めていく。
後半最後はパールマンが選ぶ小品集となっている。
パールマンが説明するのだが席が離れてるせいもあり、
どうもはっきり聴き取れない・・・。
こういうときはマイクを使ってほしいと思った。
四曲目だったろうか、
ブラームスの「ハンガリアン舞曲第一番」で、
雰囲気は最高潮になった・・・。
細かい早いパッセージの安定感は抜群だ。
早くても音と音の間はきちんと聴き取れるから驚きだ。
ピアノとの掛け合いも楽しい。
ピアノはほんと素晴らしいと思う。
パールマンの演奏も素晴らしいかったのだが、
このピアノ伴奏者の技術は同等の評価で間違いない。
ようやく涼しくなって芸術の秋にふさわしい夜となった。
CDの販売も行われていたが、
実際に聞いた演奏とは意外なほど結びつかない場合が多い・・・、
今聴いた演奏のイメージを大事にしたいと思い、
買わずにホールを後にした。
Posted at 2010-10-21 06:34
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-23 16:06
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-21 06:55
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-23 16:09
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-21 07:43
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-23 16:13
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-22 02:40
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-23 16:16
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-23 06:16
People Who Wowed This Post
Posted at 2010-10-23 16:23
People Who Wowed This Post