One Heart シリーズ男女 ⑤ 聖書の解釈
Jul
18
3. 1テモテTimothy2:1-15
女が教えることを許すべきではない?
Should we not permit a woman to teach?
そこで、まず初めに、このことを勧めます。すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。2 それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです。3 そうすることは、私たちの救い主である神の御前において良いことであり、喜ばれることなのです。4 神は、すべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます。5 神は唯一です。また、神と人との間の仲介者も唯一であって、それは人としてのキリスト・イエスです。6 キリストは、すべての人の贖いの代価として、ご自身をお与えになりました。これが時至ってなされたあかしなのです。7 そのあかしのために、私は宣伝者また使徒に任じられ―私は真実を言っており、うそは言いません―信仰と真理を異邦人に教える教師とされました。8 ですから、私は願うのです。男は、怒ったり言い争ったりすることなく、どこででもきよい手を上げて祈るようにしなさい。9 同じように女も、つつましい身なりで、控えめに慎み深く身を飾り、はでな髪の形とか、金や真珠や高価な衣服によってではなく、10 むしろ、神を敬うと言っている女にふさわしく、良い行いを自分の飾りとしなさい。11 女は、静かにして、よく従う心をもって教えを受けなさい。12 私は、女が教えたり男を支配したりすることを許しません。ただ、静かにしていなさい。13 アダムが初めに造られ、次にエバが造られたからです。14 また、アダムは惑わされなかったが、女は惑わされてしまい、あやまちを犯しました。15 しかし、女が慎みをもって、信仰と愛と聖さとを保つなら、子を産むことによって救われます。
★間違ったみ言葉の解釈の例
この個所はよく間違って解釈されて、教会生活に適用されているみ言葉の一つでもあります。罪の呪いと人間的な文化から、当時の文化や、パウロの書法を無視して読むと、だいたい次のような解釈になります。。。
女一般は、人を教えるようなものではない。なぜなら、イブが騙されたように、女というものはそれほど愚かで、男性より劣っている。しかも、男性がはじめに作られたから、男性のほうが偉いのだ。女が、慎み深くして、信仰をもっているなら、子供を産むことことができれば、救われるのだ。
と、いう風に読めませんか? 私も駆け出しのクリスチャンのころは、そう理解し、なんだかがっかりしました。江戸時代じゃあるまいし、子供を産んでこそ女性の値打ちがあるのか。。。女性には子供を産むことしか価値がないのかー、なんていう理解でした。
さて、今日もこんがらがった紐をほどいていきましょう。まずは、
★このみ言葉の背景
この手紙は、エペソにいるテモテに宛ててパウロが書いている。当時、エペソには、アルテミスという神が拝まれていた。そして、ダイアナという24の乳房を持つ女の神がおり、子宝、出産時に母子を守る神として信仰されていた。そして、女が男の起源であるとし、女は偉いという考えがあった。神殿娼婦たちがおり、魔術やシーザー礼拝も盛んであった。政治と教育の中心であった。
また、オカルトで栄えていた町であり、パウロが福音を伝え、多くの改宗者がおこったので、町の経済が立ち行かなくなったことは使途の働きでも読み取れる。
エペソ教会の開拓した創始者は、ブリスキラという女性であった。ですから、少し考えれば、パウロが女性に対して教えるなということは、あまりにも不自然なことです。
★書法 ミニキアズム
ここで、また大切な文書構成を見てみたいと思います。先週話した、キアズマ書法がここでも用いられています。
All → Men → Woman ( 女性一般・一人の女・女性一般 )
V1-7 8 9-10 11-15a 15b
All human men women ( women / a woman / women (they) )
と、このように目的語が変化していっている。A woman というのは、ある特定の人をさして言っているのである。
★パウロの要点は
全ての人に祈って欲しい。目的は、全ての人が救われるように。。。男性に祈って欲しいし、女性にも同じように祈って欲しい。両方とも神にあって聖い方法によって、男性は、聖くあり、怒らずに。女性は、謙遜に、礼節をもって祈ることを教えている。
★女性に関してミニキアズムの中身v9-15を 詳しく見てみましょう
V9 Likewise 同じように
というのは、パウロは、男性が、争いや怒りを捨ててどこでも手をあげて祈るように、女性も以下のことを捨てて祈りなさいという意味です。パウロは、祈りなさいという言葉を女性のところでは省略して書いています。
V9,10 髪を編んだり、おしゃれをすることは悪いこと?
私はこの箇所に従って、ずっと神学生のときから地味な格好をしていました。あるとき、教会の姉妹から、「お願いだから、もう少し、おしゃれして、先生。。。」と言われました。パウロは、おしゃれ禁止と言っているのでしょうか。
当時のエペソの文化では、女性が自分の身を飾りたてることは、性的な乱れを象徴しているものでした。当時、着飾っている妻を見ると、あの人は、不倫をしているのだと思われたそうです。そういう背景から、パウロは、霊的な、内面的な姿を行いによって飾ることを勧めているのです。
真珠は、ローマの時代最も優れた宝石と思われていました。ですから、真珠を身につけることは、装飾の極みとされました。
V11-15a 特定の女を指して、あの女に教えさせるな
当時、間違った教えをする偽教師たちがはびこっていました。そして、その異端的な教えをしているリーダーの中の一人にこの女性がいました。また、当時は、女性は教育や学問、宗教教育もきちんと受けて来られなかった背景を受けて、パウロが一番に言った言葉が、この女は、きちんと習うことと、神・教会に従うことを学ぶべきだと言っています。
この言い方は、女性に対してだからin silence and full submission という言葉を使っているのではなく、しばしばラビに習うときや、宗教的な学びをするときは、男性に対しても一般的に使われていた言い回しです。
V13 ですから、この女に教えさせてはいけない。黙らせなさい。
思い出してください。エペソでは、アルテミスを信じているという文化的背景から、女性は男性の起源であるという考えがありました。
V12 の、私は、女が教えたり男を支配したりすることを許しませんauthority over a man? は、ギリシャ語では、 “authentein”が使われていて、 ….. 英語でいうオーソリティではありません。
Proper translation would be ; “I do not allow a woman to teach nor to proclaim herself author of man” ですから、正しい翻訳は、「私は、この女が自分こそが男の起源であるという教えをすることを許しません。」となります。
○そして、パウロは、人間がどのように創造されたかを説明するに至り、それから、この女性は、偽りの教えに騙されている者として、同じく騙された初めの人エバの話が出てきています。
V13-14 男性がはじめに蛇に騙されなかったらえらいと言っているのではない。男性は、自分の意志で罪を犯したのですが。。。(どちらがえらい、悪いかという考え方は、男女間の競争の考え方です) 女が男性の起源だからとして威張るのではない、ということ。これも、文化的に、女性の神を信仰していた地域ならではのことです。そして、男性も女性も罪を犯したけれども、みな、キリストへの信仰によって、みな救われることができるのだ。と言っている。
○子を産むことによって救われる?? The Childbearing
① V15 The Childbearing あの出産
Saved はSozo です。キリストによる全人格的な救いです。それは、初め人アダムとエバから罪が入ったけれども、あの出産によってみんな救われることができるというのです。あの出産というのは、キリストの誕生です。キリストがこの世に生まれ、罪の贖いをしてくださったからこそ、私たちは救われるのです。
② また、当時のエペソの背景から。。。
V15 今までは、エペソの人たちは、Greek goddess Artemis / a rulership of woman/ a god of fertilityに子供を産むときに母子ともに死なないように祈っていた。しかし、クリスチャンたちは、キリストにあって、罪からの呪いである全てのことから守られ、子供を産むという危険においても死から救われる。といういみ。である、とも解釈できる。
私は、①のほうがすんなり文脈にあうと思います。
<まとめ>
パウロは、すべての人が救われることが神の心であることを説きながら、救われた私たちの務めである祈りについて、男性にも、女性にも祈ることを教えています。またその中で、キアズム処方を用いて、当時エペソ教会の問題であった間違った教えをする女性の偽教師について、この女性に学びをさせなければならないことを言及し、きちんと教えを受けるまで黙っているように指導しました。
ぼ