先月の21日の日曜日に西洋アンティーク陶磁器勉強会があった。内容はいずれもイギリスの18世紀の陶磁器に関するものだったので、わたしは皆さんの熱心なお話を感心しながら聞いていた。その中で、イギリスにおける18世紀のブルー&ホワイトに関する発表があった。そこでとても興味深いことを教わった。
硬質磁器の場合は素焼きした素地に直にコバルトで絵付けをして透明釉を掛けて焼成する。しかし、軟質磁器の場合は締め焼きした素地に直接絵付けをせず、一回透明釉を掛けて焼成をし、その上にコバルトで絵付けをして、さらにまた透明釉をかけて焼成するというのである。
この行為は何を意味するのか。
わたしの考えは、おそらく軟質磁器の場合は素地に一回釉薬を掛けないとちゃんとした絵が描けないからではないかと思う。軟質磁器は締め焼きを行うと磁器化して固まるが、おそらく、そのときに素地に隙間が出来るのである。そのため、そのまま直に絵付けをしてしまうと、素地の隙間に絵の具が染み込んでしまい、何の絵か判らなくなるくらい滲み、おそらく裏まで色が出てしまうのである。サブリナウェアの釉下彩が良い例である。
硬質磁器の場合、粘土成分がきめ細かく、素地に絵の具が染み込まないのである。ただ、絵の具を水溶液に溶かした場合、やはり硬質磁器でも素地に染み込むようである。もちろん、軟質磁器にもいろいろあるので、すべてがそうだとは言い切れないが、おそらく、これが、締め焼きの後、釉薬をかけて絵付けをする理由であると思う。すなわち、軟質磁器の場合、必然的に上絵付けの技術が発展したのであろう。
これで、18世紀のセーブルのブルーがなぜ釉下彩のブルーではなく、上絵付けを用いているのかという謎も解けた。ようするに、18世紀のセーブルは軟質磁器だったので、釉下彩には不向きだったのである。
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Posted at 2009-07-08 17:54
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Posted at 2009-07-09 16:30
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