最後のひと粒
Feb
25
わたしの地域は「市田柿」の産地。
お砂糖が入っているの?というぐらいの天然の甘味。
プロが作る市田柿の果肉は柔らかくも噛み応えもあり絶妙です。
我が家でも夫が自家製市田柿を20年作り続けています。
はじめは近所の方に「好きなだけとっていきな。」と
600個ほど収穫させてもらって玄関の軒先に吊るしていました。
一個一個皮むき器に柿の実を刺して固定。
ハンドルを回しながらピーラーをあてて皮をむきます。
それを専用の丈夫な紐に軸をひっかけて
玄関の軒下に吊るします。
子どもたちが小さいときは
ハンドルをまわしたり、ピーラーをあてたり。
お手伝いをしてくれていた姿を懐かしく思い出します。
11月には沿道の市田柿農家の干場には
オレンジのカーテンが見られるように。
息が白くなるくらい寒くなる夜を超え
酸化や黒変を防ぐために硫黄燻蒸をし
加湿効果のある川霧の恩恵を受けて甘みを増す干し柿。
我が家では吊るした柿を下ろした後
梅干しのように並べて天日に干し
紙袋に入れて、袋ごとゆさゆさ、ごそごそ刺激を与えます。
その擦れ合う刺激で柿の表面に白い粉がふくのです。
今は衛生上、直接触れることはしませんが、
昔はひとつずつ手で揉んでいたと聞いたことがあります。
柿の木は、収穫の後も剪定や消毒など手間をかけていきます。
我が家にも柿の木を植え、柿の実も自家製に。
1本の木から最盛期は500個ほど収穫できた年も。
20年作り続けた自家製市田柿。
この冬を最後にすると決めた夫。
もうじき定年を迎える今。
やりたいことがあるのだそう。
市田柿にかけていた時間をやりたいことにあてたい。
手放すことで新たなものを手に入れたいのだと。
すっきりした横顔。
夫の決断を心から応援したいと思います。
~.:*★今日の問いかけ★*:.~
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