日本では定期点検を終えた原子力発電所の再稼動に際しストレステストを行う、ということがきっかけで原発のある自治体が政府に強い不信感を持ち、これが原因で海江田大臣も近い将来の引責辞任を表明している。海江田大臣が佐賀県知事や玄海町長に原発が安全であることを国が確認したから玄海原発の再稼動に協力してほしい、と依頼してから数日後に菅総理大臣がストレステストによる原発の安全確認の実施を指示した、と言うのでは、総理大臣自ら海江田大臣の発言を否定したようなものであり、地元が政府を疑うのも当然である。
福島原発の事故により多くの人が原発の安全性に不安を持ち、電力を原発に依存しても良いのだろうか、という気持ちになったことは自然であるが、長期的には原発以外の発電設備に転換する場合でも当分の間は原発に依存するか、それとも日本経済や生活の利便性を犠牲にして原発の再稼動をやめるかの選択を迫られることになる。原発を直ちに廃止すればエネルギー多消費型の企業は海外に移転し日本の景気は低迷するとともに雇用も失われるので、政府にはそのような選択肢はないだろう。脱原発を選択したドイツでも9ヶ所の原発は2015-2022年まで稼動することになっている。
ストレステストにより原発の安全性を確認しつつ再稼動させてゆくことは地域住民の合意を得る上でも良策であり、そのこと自体は悪くない。福島原発事故では想定外が多過ぎたので、ストレステストであらゆる事態に対しても安全を確保出来る見通しがあれば地元も納得するであろう。
福島第一原子力発電所事故以来、菅政権が原発に関して行ってきたことはちぐはぐで、唐突に浜岡原発の停止を要請し、その一方では点検停止中の原発の再稼動を地元自治体に要請し、更にストレステストの実施を発表するのでは順番が逆ではないか。先ずストレステストを実施し、安全が確認された原発については地元自治体に再稼動を要請し、ストレステストに合格するためには大幅な工事が必要な原発には稼動中でも停止を要請するのが筋であろう。菅総理大臣は東京工大卒の理系宰相だが、その思考法には理系らしい論理性が感じられない。
原発の安全性に加え、日本原燃による使用済み核燃料の再処理や放射性廃棄物処理などを含めた核燃料サイクルがいまだ完成しているとはいえない。福島原発事故により国民の原発に対する考えが変化した今、政府は国の英知を集めてプルサーマルや高速増殖炉も含め、総合的な原子力政策、更にはエネルギー政策を見直すべきだろう。
菅総理は再生可能エネルギー法案が成立するまで辞任しない、と言っているが、総合エネルギー政策が確定してから再生可能エネルギーの位置付けがなされるのであり、総合エネルギー政策を策定せずに再生可能エネルギー法案を制定するのはこれまた順序が逆ではないだろうか。
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Posted at 2011-07-08 17:05
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