はやぶさから見た地球(JAXAアーカイブより借用)
われわれの住む地球は宇宙の中で特異な天体である。惑星に生命が存在するためには液体の水が表面に存在することが必要だが、そのためには惑星の中心にある熱源である恒星から適度に離れていなければならない。太陽系では水星や金星は太陽に近すぎて水が蒸発し、火星より外にある惑星では太陽から遠すぎて水が凍ってしまう。太陽系では地球と火星だけがこの領域に存在している。現在、NASAの無人探査機キュリオシティが火星の調査を行っているが、その目的のひとつはこれまでに液体の水や生命が存在したかを確認することである。またケプラー天体観測衛星が地球と同じような環境にある太陽系以外の惑星の探査を行っているが、得られたデータによれば、地球から600光年離れたケプラー22bが水の存在しうる唯一の惑星である。
地球は約46億年前に誕生したと考えられているが、その成因はまだ良くわかっていない。太陽の誕生後、ガスや宇宙塵が太陽の周囲の軌道を回り始め、それらが衝突して小惑星より小さい微惑星を形成し、それらが更に衝突を繰り返して惑星を形成したという説が有力である。太陽に近い軌道の水星、金星、地球、火星では水やメタンなどの揮発性物質には温度が高すぎるため凝縮せず金属や珪酸塩などを中心とした岩石型惑星となり、太陽から離れているために温度の低い木星以遠の惑星ではこれらのガスが凝縮した巨大ガス惑星となった。
地球の直径は約12,800kmであり、その表面は地殻と呼ばれる珪酸塩鉱物で覆われている。地殻の厚さは場所により異なるが海洋性地殻では5-10km、大陸性地殻では30-50kmである。地殻の内側には岩石質の粘弾性体であるマントルがあり、その厚さは地表から約2,900kmまで達する。地殻と上部マントルが厚さ100kmほどの10数枚のプレートを形成して地球表面を覆っており、このプレートはその下のマントルの対流によりゆっくりと動く。マントルの内側には主に鉄とニッケルで構成されている核がある。地球中心部は5,000-8,000℃、約400万気圧の高温高圧で、そのため地球中心から約1,220kmの内核は固相、その外側の外核は圧力の減少により液相となっている。。金属の液相である外核が対流や地球の自転によって流動することにより電流が生じ、これが地球磁場の一因となる。
地球は太陽のまわりを円に近い楕円軌道で公転しているが、太陽に最も近い近日点における太陽までの距離は14,700万km、最も遠い遠日点における距離は15,200万kmである。興味深いことに近日点は冬至の約2週間後であり、遠日点も夏至の約2週間後である。すなわち北半球の真夏には地球は太陽から最も遠い位置にある。それでも夏が暑いのは、太陽からの距離の問題ではなく、地球の自転軸が約23度傾いており、そのため北半球では夏季により多くの太陽からの輻射熱を受けるためである。地球は太陽のまわりを約1年かけて公転しているが、その速度は一定ではない。近日点付近では早く、遠日点付近では遅くなるが、平均秒速30kmという超高速で動いている。
地球に生命が存在するためには水があることだけでは十分でない。地球を包む大気圏が重要な役割を担っている。大気は主に窒素78%、酸素21%で構成されているが、酸素があるから動物は生きることが出来る。赤道付近では地表から高度約17km、極付近では約9kmまでの大気層は対流圏と呼ばれ、高度と共に気温が低下して地表から最も遠い所では-60℃に達する。対流圏では地殻に貯留している水が蒸発して移動することにより色々な気象現象を起こすが、対流圏外側では気温が低いため水蒸気が凝縮し、対流圏の外側にある成層圏(高度約50kmまで)には水蒸気が拡散しない。この現象により水は地球から失われないのだ。成層圏では高度と共に気温が上昇し、また水蒸気がない環境のもと、太陽からの紫外線により酸素からオゾンが作られるが、このオゾン層が有害な太陽紫外線から地球を守ってくれる。また太陽からは磁気が発生しているが、その磁気が宇宙のどこでも飛交っている銀河系宇宙線(陽子や電子など)が地球に降り注ぐのを防いでいる。これらの条件がひとつでも欠けると、地球上で生命を維持することは出来なくなる。宇宙規模で見ると、この世に人類が存在していることはほとんど奇跡に近いと思える。
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