どうしたんだ弱気の風に吹かれ 抑えていた大人が効かず 小さく萎んだカラダを隠す 私は甲羅の中 どうしたんだ弱気の風に吹かれ ビルの谷間に挟まれて 甲羅の中で刺す秒針 カチカチと時間は急かすけれども まだ首を出せずに慄いて どうしたんだ弱気の風に……
冷え込み始めた身体に目を覚まし 包まる毛布の温い向こう側 雨がひとりを響かせて ここにいることを知らせる どこにいるのかもわからない日々に ぽつりぽつりと落ちてきて 時計の針はまだ早いことを伝え この猶予に浸透してゆく 急がなくてもよい時を刻みながら ぽつりぽつりと落ちてきて
公園で匍匐前進しながら 口を伸ばし草に喰いつき 怪しい乾きが裸にさせ 香りに削られてゆくカラダ 連なる360度のエゲツない ドロドロしている私は何者か クルクル回る赤い雲 膝に滲みた冷たい青空 痙攣は何処までも夢みる 可能性のひと欠片をフラットさせ グロテスクな骨を地に刺して 右に私は何者か、左に私は何者か 正面に私は何者か、10時に私は何者か 2時に私は何者か、何者かは私か 頭で散歩する爺さん婆さん 足を貸してくれる子ども すみません私を知りませんか どの枯葉が私の首なのか 歩き出せばゴミ箱に私は何者か 広げる途中で破れる望み 駄目になってしまう精密機械は 笑いに逃げていくロケット 視界の良いジャングルから声 堕落のひと欠片をシャープさせ ビーティフルな性を宙に浮かし 右に私は何者か、左に私は何者か 正面に私は何者か、10時に私は何者か 2時に私は何者か、何者かは私か
重なる想いと付け足される想い 贈られてきた詩集のページをめくる 有難いことに詩集を頂くことが多くなり 多角視野による詩人の凝縮されたエネルギーを 自分なりに解凍する楽しみを覚えた しかし詩を書くことと同じように 読み砕いていくという自分のセンスが問われる 自由というのは楽しみにいつも厳しさが伴う まずは先入観を捨て受け入れる パッと字列の風景を見て決めてはいけない 自分のキャンパスはなるべく白くして 描かれ易くしておかなければ すると和紙に染み込むように 滲みながら重なる想いが感情を動かす すでに文字を追っている感覚はなく 読者が創る自由度の高い芸術であり 文字が文字でなくなるのが詩の世界だ だから楽しいだけではない 厳しさがそこにあるから詩の魅力に囚われ 詩を読むことに覚悟が持てるのである 有難き機会に溺れるのも良い
夜のブランコが飛んで行く 僕の僕を振り落とし 滑り台は腰を持ち上げて 遊園地への旅に出発したのさ 棒倒しの棒が見つからず 仕方なく僕が棒になっちゃった 削られる足元からは 隠したはずのテストが現れる 「なにもない世界ってどんな感じですか 夜に聴いてもいいですか」 鉄棒は丸く輪になっては 手招きして軽くステップをして溶けた ジャングルジムはひっくり返り クルクル回れば潜って消えた 砂場はさよならも言わずに 風に紛れて誰かになっちゃった 遊具のない公園には 落書きされた上履きが一足 「なにもない世界ってどんな感じですか そこは僕の行くところですか 」
詩人会に入会、しかも半年で理事なんかをやっている。詩に関わることなら、「詩は元気です☆」とうたっている私なので頑張ろうと思って。自分が詩を書きその世界だけでもそれはそれで良いのかもしれないが、あまりにも詩が肩身の狭い感じになっているのが居た堪れないから、大それて詩を少しでも広めたいなんて、勘違いを遂行しているわけなのだ。 はてはて、その役割だが詩とはほど遠いところの作業をしている。ひとつの手続きで郵便局に七回も行ったりして。しかし、理事をしなければ知らないで終わってしまうことばかり、おおいに私にとっては身になることが多い。何か詩を通しことを起こそうとするときは、この経験が役にたつだろう。えっ、何か企んでいる? いえいえ、そんなものはありませんが。今のところ。 そんな感じで詩に関わる生活が始まっている。昨日も詩、今日も詩、明日も詩、明後日も詩、その次の日はちょっと休もうか、なんて。。。
僕はホットの缶コーヒーを探している まだ自動販売機にはないが もしかしたらあるかもしれないと 襟足からスッと入る冷たさ 探してしまうのは季節のいたずら まだ探しているのは僕の余裕のなさ 今日も行く何処へ行く仕事に行く 課せられた作業へ重たき足で突っ込んで行く