ガマズミ(鎌酸実、莢迷) レンプクソウ科(Adoxaceae)
学名:Viburnum dilatatum Thunb. ex Murray
別名:アラゲガマズミ、ヨソゾメ、ヨツズミ
落葉低木だが、高さ5mにもなる。里山では、それほど珍しくない木。
だが標高1500m位の丘陵・山地にもあり花等の開花も時期がずれて楽しめる。
春、花序に直径5mm程の白い花を多数つけ、又、独特の臭いで虫が集まる。
画像のように今頃、果実は赤く熟す。
ムシカリ、ヤブデマリの実と同様に赤い実になったら区別が難しいほど似ている。
鎌酸実の名前の由来は、実が酸っぱいことからだとか、、、
漢名の莢迷(きょうめい)が→かめ→がまに訛ったという説もある。
又、「ズミ」は染めを表し、果実を染料に用いたことによるとも言われている。
この樹の枝は、雪国で古くは、かんじき(雪の上を歩くための道具)にも使われていた。
果実は、秋に赤くなる。だが甘味が少なく、渋みと酸味が強い。
初冬頃、甘くなり食べられるが、果肉は薄く種子が大きい。
果実酒(ガマズミ酒)にするときれいな深紅の色になる。昔から天然の着色料でもあった。
薬用植物資料によると、ガマズミの果実はかってはマタギの秘薬として珍重されていた由。
「ガマズミミケフシ」こんな名前を聞いたことがお有りだろうか。
タマバエの一種による虫こぶ。正常実の2~3倍の、大きさの球形になる。
色は淡緑色から淡紅色を帯び、表面には白色の短毛が密生する。
画像のガマズミの赤い実の中に少し大きめで毛の生えた実がたくさん見える。
これが「ガマズミミケフシ」、健全な姿ではなく、ガマズミミケフシという虫こぶで、
ガマズミミケフシタマバエというハエの幼虫が実に寄生してこのような形を作らせているのだ。
去年は虫こぶがなく綺麗な赤い実がなっていたのだが!?!
今年は、ご覧の通りの個体・姿を見せた。
晩秋には虫こぶは地上に落ち、ハエの幼虫はその中で越冬する。
翌年の春に蛹化、初夏に成虫が羽化するのだそうだ。
「ガマズミミケフシ」漢字で書くと「鎌酸実実毛五倍子」となる。
「五倍子」(フシ)とは、虫こぶのことに由。
この虫こぶを作らせる犯人はハエの1種で「ガマズミミケフシタマバエ」。
「鎌酸実実毛五倍子玉蠅」現代人には、面倒な漢字表現だ。
生物の相互作用には恐れ入る。
ガマズミミケフシタマバエ Pseudasphondylia rokuharaensis(タマバエ科)
鎌酸実 (ガマズミ) の実 (ミ) に毛 (ケ) が生えている五倍子 (フシ) 虫こぶ。
其の中に玉蠅 (タマバエ)という名の蠅が共生している。自然界の妙である。
「緑の森2015・10・25」
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