クモキリソウ(雲切草)⇒シテンクモキリ(紫点雲切);日本固有種
昔、浅間山麓にある湯の丸高原周辺の植物観察に幾度か訪れた事があった。
浅間山の噴火によりできた湿原が、池の平湿原。ここは、高山植物の宝庫である。
今は、環境整備され軽装で行けるようだが、訪れた頃は、人と会うこともなく静かだった。
コマクサ・レンゲツツジ・ヤナギラン・マツムシソウ・リンドウ等、春から秋にかけて楽しめた。
この周辺、数百種以上!?!の高山植物が記録されているらしい。
夏(8月中旬?)に散策した折、可愛いラン科の植物と思える花を見つけた。
帰宅後、調べてみるとクモキリソウ(雲切草・ラン科クモキリソウ属)ではないかと??
友達は、アズミクモキリ、チクマジガバチソウ、フガククモキリ等々勝手に言っていた。
以来、特定できず忘れていた。所が、どうも新種の植物であったらしい!!
最も、分かったのは2008年3月の日本植物分類学会で新種として発表された事に寄る。
そんな専門的発表は、知る由もなく今日まできたが分析標本が池の平湿原の物らしい由。
今朝、友人と談笑している中で知った。紛れも無く新種のシテンクモキリ (紫点雲切)!!
画像を比べてみると、同一種のようだ。来年、確認しに訪れてみたい。
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茎高10〜25cm位。山地の明るい林床に生える。葉は2枚。
卵形の楕円形、縁は全体または一部が波打ち中心線が窪んで縦に二つ折りにみえる。
先端は鈍頭かやや鋭頭で長さは5~13cm、幅は2~5cm、光沢があり無毛。
葉柄は長さ2~6cmで翼がある。北海道〜本州中部地方に分布、花期は6〜7月。
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新種発表論文では、形態学的な研究成果と遺伝子解析による特定が掲載されている。
遺伝子解析となると難しく中々理解できない。が、花の外見でも特徴があるようだ。
#クモキリソウとの相違点、蕊柱と唇弁以外の花被片がやや緑色がかった淡紫色。
クモキリソウは花全体が淡緑色(黒褐色の花をつけるものもあるらしいが)。
#「紫点雲切」は、唇弁の中央から基部へ続く暗紫色の部分が特徴的。
唇弁は中央部で強く反り返っており、先端付近は強い反り返りはない。
正面から見ても先端部が見えるが、クモキリソウは、先端付近まで強く反り返る。
正面から見ると唇弁の先端部が見えないことが多い。
シテンクモキリは、総体的にクモキリソウ、フガクスズムシなどに似るが、
唇弁の色や形、ずい柱の翼の形、側萼片の巻きや幅などで区別できる。
側萼片はねじれ、強く外側に巻き、唇弁基部の幅は急に狭まる。
唇弁は緑色、中央の溝に紫点がある。これが、特徴的と「紫点雲切」の名がついた。
「令和参年(皇紀2681年)8月16日、記」