神戸ご当地(816)「有馬人形筆・灰吹屋西田筆店」再開
Nov
30
昨年11月、神戸市北区の有馬温泉街で起きた火災で全焼した工芸品「有馬人形筆」の店舗兼工房「灰吹屋(はいふきや)西田筆店」が、来年1月12日(金)に再開されます。猛火で商品や工具、材料を全て失い、一時は再建を諦めかけた現在の7代目夫婦ですが、温泉街の旅館経営者らによるエールと協力の下、夫婦は焼失を免れた先代の形見と一緒に再起を決意しました。「火災で温泉街にも大きな被害が出た。復興のためにも、もう一度伝統工芸品作りに力を注ぐとのことです。
7代目夫婦は、西田健一郎さん(71)と明子さん(71)=同区唐櫃台2。創業年は不明ですが、有馬で現存する唯一の工房でした。昭和中期に廃れかけた有馬人形筆でしたが、健一郎さんの祖父、5代目の西田徳治さんが復活させ、1970年の大阪万博に出品したことを機に有名になりました。
「有馬人形筆」は、筆先を下に向けると、筆軸から愛らしい豆人形が顔を出すからくり仕掛けの筆です。7世紀に孝徳天皇が有馬温泉に来た後、有間皇子が誕生した伝承から着想を得て、1559年に神戸の人形師が考案したとされ、豆人形が出たり引っ込んだりする仕掛けが、温泉につかっている様子を再現している。筆軸に細い絹糸を何重にも巻いて仕上げた華やかな、市松・矢絣・うろこ模様が特徴。1993年には兵庫県指定の伝統的工芸品に指定されています。